今回は謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱの違いについてです。
自分は社員、相手は社長として具体的な例でみると、
・その件は、社長に御説明しました。・・・「御説明する」謙譲語Ⅰ
・その件は、社長に説明致しました。・・・「説明致す」謙譲語Ⅱ(丁寧語)
これだと、どちらも社長を高めているように見えるので、違いがわかりにくいですね。
次は社長を同僚の[さとう]に変更します。
・その件は、[さとう」に御説明しました。・・・「御説明する」謙譲語Ⅰ
・その件は、[さとう]に説明致しました。・・・「説明致す」謙譲語Ⅱ(丁寧語)
謙譲語Ⅰの使い方が御用なのが分かりますでしょうか。
[さとう]は同僚なので高める必要がありませんが、「御説明する」は[さとう]を高めてしまいます。
謙譲語Ⅱは[さとう]を高める敬語ではなく、相手の社長に対して改まって伝えることを表します。
さらに部長に変更した場合をみてみます。
・その件は、部長に御説明しました。・・・「御説明する」謙譲語Ⅰ
・その件は、部長に説明致しました。・・・「説明致す」謙譲語Ⅱ(丁寧語)
どちらも御用ではありませんが、
謙譲語Ⅰでは部長を高めている点で相手の社長よりも部長に配慮しているようになり、
状況によって社長の気を悪くするおそれがあります。
よくわからないけど社長にも部長にも配慮した言い方がしたいときは、
・その件は、部長に御説明致しました。・・・「御説明いたす」謙譲語Ⅰ+謙譲語Ⅱ(丁寧語)
こちらのように敬語を使えば問題ないようです。
それぞれの敬語のもつ特性の違いを理解して、
実際の会話の中で敬語を使い分けていくことが大切ですが、やっぱりむずかしいですね。