来客へお茶を出すのは簡単なことに思えますが、じつはただお茶を淹れて出せばいいというものではありません。
お茶の淹れ方や出し方にも、守るべきマナーがあります。
お茶出しは見られていないようで意外と見られている部分であり、間違ったマナーでお出しすると目につきます。マナーをご存じない方へのお茶出しであっても、マナーを守ったお茶出しをすることで、会社の品を感じてもらえます。
今回は、正しいお茶の淹れ方や出し方の基本マナーを解説します。
【目次】
お茶の淹れ方
(1)茶碗をお湯で温めておく
すぐにお茶が冷めないように、茶碗にお茶を淹れる前にお湯を注いで温めておきます。
この一手間を加えるだけでお茶が冷めにくくなります。
(2)お湯の温度は80度前後に
お湯の温度が100度に近ければ近いほど、茶葉の成分がよく溶け出します。
しかし、100度に近いお湯では旨味成分だけでなく、渋み成分のカテキンや苦み成分のカフェインも溶け出してしまって、渋いお茶になってしまいます。
苦味を抑え、旨味が感じられる美味しいお茶を淹れるには、80度前後が最適とされています。
沸騰した直後のお湯を使うのではなく、少し時間を置いて80度前後にまで冷ましたお湯を使うようにしましょう。
(3)お茶の濃さが均等になるように注ぐ
急須からお茶を注ぐ場合、全ての茶碗に少しずつ注いで、お茶の濃さが均等になるよう淹れるのがマナーです。
これは、最初に淹れる茶碗と最後に淹れる茶碗ではお茶の濃さが違ってしまうためです。
茶碗ごとに濃さが違うのは見た目がよくないですし、明らかに薄いお茶を渡されるのは気分がいいものではありません。
面倒だからと一気に注がず、お茶の濃さを見ながら均等になるように注いでいきましょう。
お茶の出し方
(1)茶碗と茶托はお盆に別々に乗せる
どうせ茶托の上に茶碗を置いて出すのだから、お盆で運ぶときに乗せておけばいい、と考えてしまいそうですが、それは正しい出し方ではありません。
なぜなら、歩いている際にお茶がこぼれると茶托が濡れてしまうからです。
茶托が濡れた状態で出されるのは気分がいいものではないですよね。
茶碗と茶托はお盆に別々に乗せて運ぶのが正しいマナーとされています。
歩いているときにこぼれたお茶を拭けるように、布巾も一緒に持って行きましょう。
(2)挨拶が終わった頃を見計らってお茶を持って行く
挨拶をしているときにお茶をお出しするのは邪魔になるので、挨拶が終わった頃を見計らってお茶を持って行くようにしましょう。
入室するときはノックを3回し、「失礼いたします」と一言添えて入室します。
(3)サイドテーブルかテーブルの下座側にお盆を置く
サイドテーブルに置くのがベストですが、ない場合はテーブルの下座側、つまり入り口側にお盆を置いてお茶をお出しします。
すでに名刺などが置いてあり、お盆を置けない場合もありますので、状況を見ながら判断しましょう。
(4)お盆の上で茶托をセットする
茶托をお盆の上でセットしてからお出しします。
歩いている際にお茶がこぼれていないか確認し、茶碗が濡れている場合は布巾で拭いてからお出しするようにしましょう。
(5)上座の順にお出しする
役職の高い順にお出しするのが良しとされますが、見た目だけでは役職の判断はつきません。
役職が分からないときは上座の順にお出ししましょう。
(6)お客様から見て右側にお茶を置く
お客様から見て右側にお茶を置くのがマナーです。
資料や名刺が置いてあって右側に置けない場合は、「こちら側から失礼します」と一言断った上で左側に置きましょう。
話し中のときは、話を遮らないように目礼のみで済ませても構いません。
お茶をお出しする際は両手で持ち、「どうぞ」と一言添えます。
木製の茶托の場合は、お客様から見て木目が横に流れるように置くのがマナーです。
(7)退室時のお盆の持ち方
女性はお盆の表側を体に向けて持ち、男性の場合は左脇に挟んで持つのがマナーです。
「失礼いたします」と言って一礼し、静かにドアを閉めて退室してください。