手取り足取り教えたり、反対に放任したりするだけでは、部下はなかなか育ちません。
部下のやる気を引き出し、成長してもらうためにコーチングのテクニックが役立ちます。
今回は、部下のやる気を引き出すコーチングのテクニックを6つ紹介します。今時の部下の育成に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
【目次】
コーチングとは
コーチングとは、対話を通じて相手の成長を促していく人材開発の技法のひとつです。
手取り足取り教えるティーチングや、見て学べという徒弟的な教育とも異なる技法であり、モチベーションの高い自立した人材を育てるのに適しているとされています。
コーチングの厳密な定義で従えば、コーチは相手を誘導したり、細かく手順を教えたりしてはならないとされていますが、ビジネスの現場でこれをそのまま適用するのは非現実的です。お客様相手に失敗を繰り返して学んでいこうとは、言えない業務も多いですよね。
ですから、コーチングのエッセンスを活かしつつ、ティーチング的なアプローチと組み合わせて人材育成を行っていくのが現実的でしょう。
テクニック(1)相手の話を聞く
教える側の立場なのに、「相手の話を聞く」のがテクニックというのは矛盾しているように感じられるかもしれません。しかし、どんな立場であっても相手の話を聞くことは良好な関係性を築く上で欠かせない姿勢です。
一方的に話すばかりで、自分の話を聞いてくれない人に対して心を開けるでしょうか?
自分の想いや考えをしっかり聞いて、受け止めてくれる相手でなければ人は心を開きません。
そして、心を開いていない相手にはどんな言葉も伝わりません。
まずは相手の話を十分に聞く姿勢を見せ、「この人は自分の話をちゃんと聞いてくれる人だ」と信頼を得ることがコーチングの第一歩です。
そうした信頼関係を築ければ、普段の報告・相談もスムーズになります。
反対に、話を聞いてくれない人だと思われてしまうと、報告・相談が滞りやすくなります。
報告が遅れることで状況が悪化する恐れもあるので、そうした事態を防ぐためにも、部下の話を聞く姿勢を持つようにしましょう。
テクニック(2)承認する
相手を認めることもコーチングの重要なテクニックです。
人には他人に認められたいという承認欲求があり、部下は上司に認められたいという気持ちを持っています。
承認されないと存在を否定された気分になり、仕事に対するモチベーションが下がってしまいます。
承認をしてくれた相手に対しては信頼感が増し、次もまた頑張ろうという気持ちになります。
成果を出したとき、目標を達成したとき、与えたタスクをクリアしたときなど、部下ががんばったときはその努力を認め、言葉にして伝えてあげましょう。
テクニック(3)任せる
部下を信頼して任せることもコーチングのテクニックのひとつです。
教えるばかりでは自立性が促されず、言われたことしかできない部下になってしまいます。
「失敗されたら困る」という気持ちもわかりますが、「失敗してもいい」ぐらいの気持ちで部下に任せ、失敗したときは何がいけなかったのかを一緒に考えましょう。
また、部下が失敗してもフォローできる体制を準備しておくのも上司の務めです。
テクニック(4)部下の個性を尊重する
人にはそれぞれ個性があり、部下には部下の個性があります。
仕事をおぼえるペースが遅い人や、要領が悪い人もいます。
しかし、仕事を覚える早さや要領の良し悪しだけで判断してしまうと、その人が持っている個性を見逃してしまいます。
もしかしたら自分には思いつかないアイデアを持っているかもしれませんし、違った視点で問題点を見る目を持っているかもしれません。
部下の個性や適性を見極めて、それを活かせる仕事を任せていきましょう。
テクニック(5)部下の能力に応じて仕事を任せる
個性の話にも出てきましたが、仕事をおぼえるペースは人によって異なります。
それまでの経験による違いもありますので、複数人の部下に同じように仕事を割り振るのは効率的とはいえません。
簡単すぎる仕事も、難しすぎる仕事も、部下の成長の機会を奪ってしまいます。
少し背伸びをして達成できるくらいの仕事を与えるのがちょうどよいさじ加減です。
不平等と思われるかもしれませんが、能力に応じて仕事を分配するのも上司の仕事といえるでしょう。
テクニック(6)完璧を求めない
自分が完璧主義であったとしても、それを相手に求めてはいけません。
いつも完璧を求められると部下はプレッシャーと窮屈さを感じ、本来の力を発揮できなくなります。
もちろん、明らかに手を抜いた仕事をした場合は叱らなければなりませんが、部下が自分のできる範囲できちんと仕事をしているなら、自分から見て完璧でなくてもそれを責めてはいけません。
おわりに
すべてのテクニックに共通しているのが、相手を尊重する姿勢です。
部下と上司の関係であっても、人間同士であることに違いはありません。
部下を一人の人間として尊重し、真剣に向き合うことがコーチングのもっとも重要なポイントといえるかもしれません。