ビジネスメールで「違和感を感じる」「全て一任する」「一番最初」「あらかじめ予約する」といった文章を使っていませんか?
同じ意味の言葉を重複して使ってしまうことを重言(二重表現、重複表現)と呼び、誤用とされます。
重言は文章を冗長にし、文意をわかりにくくします。
単なるマナーや文法の問題と捉えず、ビジネススキルのひとつとして重言を避けられるようになりたいものです。
そこで今回は、ビジネスシーンで重言を使って恥をかかないために、ついつい使ってしまいがちな重言を9つまとめました。
【目次】
×一番最初 → ◯一番 / 最初 / 初め
「最初」は「一番初め」という意味なので、一番をつけると「一番一番初め」という重言になってしまいます。相手に幼さを感じさせてしまいます。
使うなら「一番」や「最初」、または「初め」が適切です。
「一番最初」はついつい使ってしまいがちなので、注意しましょう。
「一番最後」も同様ですので、「最後」「終わりに」と表現するのが正解です。
×断トツトップ → ◯断トツ
「断トツトップ」も「一番最初」と同じで、重言になっています。普段中々、使うことはない人が多いでしょうが、営業等の報告書やプレゼン資料作成時には注意しましょう。
「断トツ」は「断然トップ」を略した言葉なので、「1位」をつけると「断然トップのトップ」となってしまいます。
使うなら「断トツの人気」というように、「トップ」を付けないのが正解です。
×全て一任する → ◯一任する
「一任する」自体が「全て任せる」という意味なので、「全て」とつけると重言になってしまいます。
「全て」をつけたくなる気持ちは分かりますが、「一任する」だけで「全て任せる」という意味として伝わります。
若い後輩や部下に重みを感じさせるために、意図して使うのなら良いかもしれませんね。
×あらかじめ予約する → ◯予約する
「あらかじめ」は漢字で書くと「予め」なので、「あらかじめ予約する」は重言です。
ついつい「あらかじめ」をつけたくなりますが、「予約する」だけで充分です。
×後で後悔する → ◯後悔する
「後で後悔する」は分かりやすい重言です。
これもつい使ってしまう気持ちは分かるのですが、表現としては「後悔する」だけで充分です。
×思いがけないハプニング → ◯思いがけない出来事
「ハプニング」は「思いがけないこと」という意味なので、「思いがけないハプニング」は重言となってしまいます。
表現するなら「思いがけない出来事」が適切です。
「思いがけないトラブル」は重言にはなりません。
「トラブル」は「困難」ですので、こちらの表現なら問題はありません。
最近、英語を話せる方が多いので注意しましょう。
×違和感を感じる → ◯違和感を覚える
「違和感」には「感」の字が含まれているので、「違和感を感じる」と表現すると重言になってしまいます。
「違和感」を使うときは、「違和感を覚える」「違和感がある」「違和感を抱く」といったように、「感じる」以外の言葉を使います。
ただ、「違和感」は名詞で「感覚」を指す言葉で、「感じる」は動詞であるため、用法的には間違っていないという意見、「覚える」「抱く」も「感じる」と似たニュアンスであるため「感じる」でも間違いないという意見もあります。
日本語の表現は変わるものですし人によって捉え方が違うので一概には言えませんが、表現的に「感」が重複しているのが気になる、という方は少なくないと思われます。
相手に「違和感を与えない」ために「感じる」を使うのは避けた方が良いでしょう。
×価格の値上げ → ◯値上げ
「値上げ」自体に「価格」の意味が含まれているので、「価格の値上げ」は重言になります。
値段を上げるなら単に「値上げする」だけで充分なのです。
「価格の値下げ」も同様で、「値下げする」が適切な表現となります。
おわりに
いかがでしたか。いままでとくに意識せず使ってしまっていた言葉も多かったのではないでしょうか。
重言を避けるだけでも文章がぐっと引き締まります。重言を理解した上で、相手に合わせて意図的に使う、使わないを判断できると、相手には感じてもらいやすい文章を作成できます。