顧客満足(CS)の向上に努めているのに、なかなか結果が出ない…と悩んでいる企業は、従業員満足(ES)が低い可能性があります。
従業員満足とは、Employee Satisfactionの略語で、文字通り従業員の満足度を指す言葉です。
従業員満足が低い会社は、顧客満足も上がりにくく、業績にも悪影響を与えます。
今回は、経営において従業員満足が重要な理由と、従業員満足が低いと発生するリスクについて紹介します。
【目次】
従業員満足は業績に好影響を与える
コーヒーチェーン店のスターバックスを利用したことはあるでしょうか?
すべての店舗を利用したことがあるわけではありませんが、スターバックスはどのお店も清潔で、接客レベルも一定以上に保たれている印象です。
じつは、スターバックスはESが高いことで有名なんです。
スターバックスは経営戦略として従業員満足を重視していると言われています。
従業員が働きやすい環境を作ってESを向上させることにより、スタッフのモチベーションを向上させ、サービスレベルを高めているのです。
また、2010年にリクルートマネジメントソリューションズが行った研究でも、ESの高い「働きがいのある会社」は他の企業と比べて業績がよいという結果が示されています。
参考:研究レポート 「働きがい」は業績に関係するのか ~日本における「働きがいのある会社」ベスト25企業の株価パフォーマンス|リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所
従業員満足が低い場合に起こるリスク
従業員満足が低い組織では、モラルやモチベーションも低くなりやすいと言われています。
やる気のある従業員がたくさんいる会社と、やる気のない従業員ばかりの会社を想像すれば、すぐに理解できると思いますが、モチベーションが下がった組織のパフォーマンスは極めて悪くなります。
モラルやモチベーション低下が招くリスクを列挙してみましょう。
・勤務態度が悪くなる
・新サービスや改善の提案が減少する
・自らスキルアップしようという意識がなくなる
・離職者が増加する
・遅刻、欠勤率が上がる
・自社ブランドへの忠誠心が下がる
・事故やミスが増える
・横領、顧客情報流出などの不正行為
このような問題が起きている組織の業績が上がるわけがありません。
従業員満足への取り組みは、リスクマネジメントでもあるのです。
従業員満足を高めるためには?
では、従業員満足を高めるにはどうすればよいのでしょうか?
「会社の業績がみるみる伸びる 「社員満足(ES)」の鉄則(志田貴史)」によれば、従業員満足に深く関わる因子は下記の5つだそうです。
・ビジョンへの共感
・マネジメントの適切さ
・参画への充実度
・企業風土の最適さ
・職場環境の快適さ
それぞれの項目がどの程度従業員満足に影響しているかは組織や個人によっても異なります。
社内アンケートを実施するなどして、従業員が満足しているところ、不満に思っているところを洗い出してみるとよいでしょう。
下記のサイトで、従業員満足度アンケートのテンプレートを配布していたので紹介します。
参考:『従業員満足度アンケート(ES調査)』のテンプレート|アンケートツール「クエスタント」
おわりに
スターバックスではスタッフのことをパートナーと呼び、ディズニーリゾートではスタッフのことをキャストと呼ぶなど、インナーブランディングに力を入れている企業は、呼称にも従業員との関係性が表れています。
とくに接客業では従業員の接客ひとつでブランドイメージが変わるため、ブランドは従業員が作るといっても過言ではありません。
「給料の分は働いてくれ!」と思うのは経営者の人情ですが、人は勘定だけでは動かず、感情で動くものです。従業員の将来のことを考え、少しでも給与を上げたい、従業員は、自分の給与、将来のために働くのだから、頑張って当たり前だろうとも思うかもしれませんが、ESアップには、そういうことも教育し感情を動かす努力も必要なのかもしれません。
満足しながら働ける環境を整えて、業績に貢献してくれる従業員を増やすこと、それがあなたの会社拡大につながります。