CSR(企業の社会的責任)と聞くと、植林や難民の救済活動など、大掛かりなボランティア活動を思い浮かべる方が多いでしょう。
CSRは大企業だけがやればよいもので、中小企業には関係ないと思っている方も多いかと思います。
しかし、CSRとは本来そのようなボランティア活動を指すものではありません。
中小企業でも取り組むべきものであり、取り組みを通じて信頼を築き、持続的な成長を図れるものなのです。
【目次】
CSRとは?
CSRは「Corporate Social Responsibility」を略した言葉で、日本語では「企業の社会的責任」と訳されます。
利益だけを追求して組織活動をするのではなく、社会に対して責任を持って活動をすることを指します。
株主、消費者、従業員、得意先、地域社会など全てのステークホルダー(利害関係者)と良好な関係を保つために、安心できる商品やサービスの提供、環境保護、製品責任、従業員に対する責任、社会貢献といった活動を行います。
CSRの取り組み1:地域の問題を解決
安心して子育てができる地域に住みたい、安心して働ける会社に就職したい、女性が活躍しやすい地域に住みたいなど、地域が抱える問題を解決することは非常に重要なCSRです。
地域の防犯活動に参加したり、女性の雇用機会を拡大したりするなど、企業が地域に対してできることは色々あります。
そうした地域貢献に取り組むことで企業への信頼性が向上し、持続可能な企業へと成長できます。
CSRの取り組み2:説明責任を果たす
経営の透明性を高めることは、企業への信頼性の向上につながります。
事業内容や経営状態がはっきりわからない企業との取引はリスクがあるからです。
上場企業にかぎらず、財務状況や経営情報を開示するなど、ステークホルダーに対して説明責任を果たすことは基本的なCSRのひとつであると言われています。
CSRの取り組み3:従業員が働きやすい環境を整える
CSRは消費者や地域社会に対してだけでなく、組織内部での取り組みにも求められます。
従業員が働きやすいよう就労環境を整える、従業員の人権を尊重するなどの取り組みもCSRの一環です。
従業員の健康を損なわないように労働環境を整備し、職場の安全を確保することが企業には求められます。
育児制度や介護制度など、福利厚生の充実も重要なCSRの取り組みです。
対外的なCSRに熱心でも、企業を支える従業員を疎かにしていてはCSRを果たしているとは言えません。
最近では、従業員が付与されたポイント内で好きな福利厚生メニューを選べる「カフェテリアプラン」を取り入れる企業が増えています。
こうした取り組みもCSRのひとつであると言えるでしょう。
CSRの取り組み4:環境保全の取り組み
温暖化ガス排出量の削減など、企業には環境保全の取り組みが求められます。
環境省が実施したアンケートによると、東海三県(愛知・三重・岐阜)に本社があり、従業員300人以下の製造業系、100人以下の非製造系の中小企業のうち98.8%が、何らかの環境保全制度の認証を得ているそうです。
廃棄物の減量化、省エネルギーに取り組んでいる企業が多く、他には資源有効活用、グリーン購入、環境商品の開発・販売、他団体の環境保護活動支援といった取り組みをしていると回答しています。
これらの環境保護活動により、企業のイメージアップ、コスト削減、顧客や取引先からの評価、社員の士気向上といった成果が得られているそうです。
CSRの取り組み5:製品の安全性
製品事故のリスクを減らすために、安全性のチェック体制を整備したり、製品情報を開示したりといった取り組みもCSRにつながります。
事故が起こった時に迅速に対応することも大事ですが、何より事故が起こらないように製品やサービスの安全性を高めることが重要です。
安全性を高めるためにどんな活動をしているのか公開すれば、製品や企業の信頼向上にも貢献するでしょう。
おわりに
いかがでしたか。CSRが大企業だけのものではなく、企業規模にかかわらず取り組んでいけるものなのだとご理解いただけたのではないでしょうか。特別なことをしなければならないわけではなく、ステークホルダーに対し誠意ある企業活動を行うのがCSRの第一歩なのです。また、その一歩が同業他社との差別化へもつながっていくのです。