【目次】
法律事務所の秘書とは?
まずは、法律事務所の秘書の役割について確認しておきましょう。
秘書とは
そもそも秘書とは、上司のスケジュール管理や電話・メールへの対応、来客への対応、その他の庶務をこなすことにより、業務遂行をサポートする職務を担う人のことを指します。会社全体や部署全体の雑務を担当する事務員とは異なり、秘書は社長や役員など特定の上司へのサポートをマンツーマンで担当するのが一般的です。
一般企業の秘書との違い
法律事務所の秘書も、担当弁護士に関わる庶務をこなして、その業務遂行をサポートするという点では、一般企業の秘書と同じです。しかし、法律事務所の秘書は、一般企業の秘書よりも専門的な知識やスキルを求められることと、事務作業の負担が大きいのが一般的です。
弁護士は高度に専門的な法律業務を取り扱っていて、一般企業の経営者や管理職よりも大量の事務作業に追われる傾向にあることから、このような違いが生じているといえます。
パラリーガルとの違い
パラリーガルとは、法律事務所において一般事務だけではなく、弁護士の監督の下に、法律事務も担当する職員のことです。例えば、パラリーガルは裁判書類や契約書の原案を作成したり、クライアントとの打ち合わせに同席して事情を聴いたりなどして、弁護士が行う法律事務をサポートします。
それに対して、秘書は法律事務には関与しないため、パラリーガルに比べると深い法律の知識は要求されません。
事務職員との違い
法律事務所の事務職員とは、弁護士に雇用されて、弁護士の業務遂行をサポートする職員のことを広く指します。「事務職員」には秘書もパラリーガルも含まれますし、さらには、弁護士のスケジュール管理にも法律事務にも関与せず、一般事務のみを行う職員も含まれます。
もっとも、中小規模の法律事務所では、事務職員の能力や意欲に応じて臨機応変に業務を任せるという実態があるため、「秘書」「パラリーガル」「その他の職員」の境界は曖昧であることが多いです。
本記事では以下、パラリーガルを除き、弁護士のスケジュール管理を含む一般事務を広く担当する事務職員のことを秘書として、解説を続けます。
法律事務所の秘書に必要な能力
法律事務所の秘書に必要な能力として、主に次の5つが挙げられます。採用の際の参考にしていただくとよいでしょう。
コミュニケーション能力
法律事務所には、日々、クライアントや新規法律相談の問い合わせ、裁判所、検察庁、他の弁護士、事件の相手方、弁護士会や法テラスなどをはじめとして、様々な方から数多くの電話がかかってきますし、来客も多いです。このような電話や来客に対して、最初に対応するのは秘書です。弁護士の不在時には用件を聴き取らなければならないこともあります。
このような電話や来客、伝言などを弁護士へスムーズにつなぐためには、どのような性格の相手とも円滑にやりとりできるだけのコミュニケーション能力が要求されます。
事務処理能力
法律事務所では、膨大な書類を取り扱っています。事務所にもよりますが、日々の経理や確定申告、社会保険の手続き、人事に関する手続きまで、すべての事務を秘書が担っていることもあります。
多くの場合、大量の事務作業をこなしながら、電話や来客にも対応しなければなりません。そのため、秘書には正確かつ速やかな事務処理能力が求められます。
パソコンスキル
現在では、裁判所に提出書類をはじめとして、様々な書類はすべてパソコンで作成しています。メールでのやりとりも必須ですし、その他にも経理など、パソコンを使用する業務は多々あります。そのため、秘書には基本的なパソコンスキルが必要です。
法律事務所で使用することが多い一太郎を普段から使用している人は少ないかもしれませんが、秘書を採用する際には最低限、WordとExcelを問題なく使用できるかを確認した方がよいでしょう。
基本的な法律知識
秘書に高度な法律知識は不要ですが、基本的なレベルの法律知識は必要です。なぜなら、弁護士やクライアントとの会話では法律の専門用語が飛び交うからです。また、新規法律相談の問い合わせに対応する際も、基本的な法律知識がなければ用件を的確に聴き取れないことがあります。
具体的なレベルとしては、大学の法学部を卒業した人や、宅建など難易度が低い法律系の資格を持った人を選ぶことが望ましいでしょう。
電話対応スキル
法律事務所には日々、数多くの電話がかかってきます。秘書は、基本的にすべての電話に対応しなければなりません。そのため、秘書にはある程度のレベルの電話対応スキルが必要不可欠です。
一般的なビジネスマナーの心得があるのは当然のこととして、緊急案件やクレームなど、イレギュラーなケースにも臨機応変に対応できるスキルがなければいけません。それでいて感じがよく、「事務所の顔」としてふさわしい対応ができる人が秘書として望まれます。
法律事務所に秘書は何人必要?
秘書の人数については、一般的に担当上司1人につき秘書1人というイメージがありますが、法律事務所の場合は、以下のように事務所の規模に応じて必要な人数が変わってきます。
大規模事務所では弁護士の人数より少ない
日本弁護士連合会の調査によると、弁護士数が 1~6 人に対して事務職員数が 1~6人の事務所が多数を占めており、一事務所における事務職員数は、弁護士の人数と同等かプラス 1 程度が適正ではないかと分析されています。
もっとも、弁護士数が多くなるほど、事務職員数は弁護士数よりも少なくなる傾向にあります。事務作業を効率的にこなすことにより、1人の事務職員が複数の弁護士の業務をサポートすることが可能だからです。
それだけに、大規模事務所の秘書には高度の事務処理能力が求められ、日々の業務量も多いと考えられます。
中小規模の事務所では弁護士の人数と同程度
弁護士数が1~6人の中小規模の事務所では、日本弁護士連合会の調査結果でも示されているように、弁護士数と事務職員数が同程度のことが多いです。
ただし、特定の事件分野に注力する事務所や、地方で顧客獲得数が多い事務所では、弁護士数よりも事務職員数の方が多くなる傾向があり、なかには1人の弁護士が10人以上の事務職員を雇用しているところもあります。
しかし、このような事務所の職員は「パラリーガル」が多いと考えられます。「秘書」の人数としては、弁護士数と同程度が適正と考えてよいでしょう。
独立直後の事務所では不要なことも
近年では、事務職員を雇用せず1人で独立開業し、事務所を運営する弁護士も増えてきました。特に独立直後で顧客数が少ない事務所では、事務職員は不要なこともあります。
ただし、新規顧客を獲得するために営業活動を強化すると、事務所への問い合わせが増えてきます。その電話に出られなかったり、対応が悪かったりすれば、新規案件を取り逃がす可能性が高くなるでしょう。
弁護士は裁判所への出廷などで外出が多く、事務所にいるときでも打ち合わせ中などで電話に対応できないときが多々あるものです。新規顧客を獲得していくためには、どうしても電話対応を担ってくれる秘書の存在が必要になってきます。
秘書を雇う代わりに電話代行サービスを利用するのもおすすめ
1人で独立開業した弁護士も、手が回らなくなってくると秘書を雇うケースが多いですが、電話代行サービスを利用するのもおすすめです。
電話代行サービスとは
電話代行サービスとは、法律事務所にかかってきた電話を転送し、プロのオペレーターが弁護士や事務職員に代わって対応してくれるサービスのことです。
電話対応を外部に代行してもらうことで、弁護士および事務職員は本来の業務に集中することが可能となります。
電話代行サービスは秘書の代わりになる?
電話代行サービスは、秘書の代わりとして活用することも可能です。
弁護士が在席時にかかってきた場合、オペレーターが最初に対応し、内線電話のように弁護士の携帯電話につないでもらうこともできます。営業や勧誘などの不要な電話は、オペレーターが断ってくれます。弁護士が不在時には、オペレーターが終話まで対応した後、即時にメールやチャットで受電内容を報告してくれます。また、予め予定を伝えておけば、相談者に戻り時間や、折返しの時間を伝えてくれることもできます。
このように、電話代行サービスのオペレーターは、専属秘書のように弁護士に寄り添い、業務遂行をサポートしてくれるのです。
電話代行サービスを利用するメリット
弁護士が電話代行サービスを利用するメリットとしては、まず、問い合わせの電話へ迅速に対応できるようになるので、新規案件の取りこぼしを回避できることが挙げられます。悩みや不安を抱えて電話をかけてきた顧客にも、高いスキルを持ったオペレーターが温もりのある対応をしてくれるので、安心感と信頼感を与えることができます。弁護士1人で孤軍奮闘するよりも、新規顧客獲得の可能性を高めることができるでしょう。
そして、弁護士にとっては日々の電話対応の負担が軽減されることで、本来の業務に集中できるようになります。
また、秘書代わりに電話代行サービスを利用することで事務職員を雇用する必要がなくなれば、コストカットにつながります。特に独立直後の事務所にとっては、電話代行サービスを利用するメリットが大きいといえるでしょう。
まとめ
秘書の主な業務は電話対応や担当上司のスケジュール管理などですが、法律事務所の秘書はその他にも雑多な事務作業をこなさなければなりません。電話代行サービスを利用すれば秘書の業務負担も軽減されるので、その人の能力次第ではパラリーガルとしての業務も任せて、事務所の取り扱い業務を手広く展開することも可能となるでしょう。
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