電話対応は、IT化が進む現代においても、多くの企業間で切っても切れない業務のうちの一つです。そして、電話対応は大切なお客様や取引先とのタッチポイントであるため、適切な対応が必要になります。しかし、普段の生活で固定電話を使う頻度が少なくなったなどの要因から、電話対応に不安を感じる若手社員も少なくありません。
マイナビニュースが「仕事の電話で失敗したことはありますか?」と聞いたアンケート調査では、過半数を超える51.1%もの人が「はい」と答えるという結果に(※1)。また、「はい」と答えた方に、「その失敗はどのようなものだったか具体的に教えてください。」と聞いたところ、敬語など“言葉遣い”で電話対応を失敗した、という回答も多く見られました。
Q. (「はい」と答えた方にお聞きします) 失敗はどんなものですか?具体的に教えてください。(自由回答)
A.
・「話していたら、相手が急に怒り出した。『俺はお前の友達じゃないぞ!』ちょっと砕けた話し方だったかも」(57歳男性/愛知県/専門コンサルタント/専門職関連)
・「上司は席を外していますというとき、○○は、というべきを、○○さんは、と言った」(39歳女性/京都府/ガラス・化学・石油/その他技術職)
・「敬語を使い間違えた」(48歳男性/東京都/建設・土木/事務・企画・経営関連)
(※1 出典:マイナビニュース,電話応対の失敗談 – 「『いないと言ってくれ』と相手に聞こえていた」「社長だと気づかなかった」「アポ電で日時と場所を決めずに切った」)
上記のように、敬語を正しく使えずに不適切な電話対応をしてしまうと、相手が急に怒り出してしまったり、クレームに発展してしまったりすることもあります。
今回は、電話対応で敬語や言葉使いの失敗をしないために、電話対応でよく使う敬語をご紹介します。
【目次】
電話対応でよく使う敬語一覧|まずは基本をおさらい
敬語には「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」の3種類があります。特にビジネスの電話対応では、お互いの顔が見えない分、相手に失礼にならないようにこの3つの敬語を上手に使い分ける必要があります。敬語をうまく使えていないと、「教育が行き届いていない」「世間知らず」「気分を害された」などよくないイメージを自社や自分自身に与えてしまう可能性があるからです。
学生時代に国語の授業で学習したことがある人が多いかと思いますが、改めておさらいしてみると「間違った使い方をしていた」「知らなかった」という部分が意外と見つかることがあるので、まずは基本をおさらいしてみましょう。
①丁寧語
相手への敬意を示す言葉として使われ、「~です。」「~ます。」などのように、語尾に使用します。
②尊敬語
敬う相手の動作や状態など、相手に関して使います。
「田中様が11時にいらっしゃいます。」というように、相手が主語にあたるのが特徴です。他にも人以外にも“御社”などというように、相手方に関する名詞を敬う際にも使用します。
③謙譲語
自分や自分の身内のことをへりくだる際に使用するのが謙譲語ですので、主語は自分になります。相手よりも自分の位を下げることで相手への尊敬を示すという特徴があります。また自分以外にも「弊社の田中が15時に伺います。」など、自社社員といった自分の身内や名詞が主語になることもあります。
電話対応でよく使う敬語一覧|主語によって敬語を使い分ける
尊敬語と謙譲語は、相手が主語なのか、それとも自分が主語なのかによって使い分ける必要があるので、注意が必要です。よくある使い分けができていない例としては、「弊社担当にお伝えさせていただきます。」などです。“お伝えする”は尊敬語になるので、「弊社担当に申し伝えます。」が正しい敬語の使い方です。
特に電話対応では、敬語を使い慣れていないと、とっさに使い分けを誤ってしまうことが多いので、普段の会話から注意してみましょう。
敬語の作り方にはある程度、規則性があります。規則的な敬語の作り方は以下の通りです。
●和語(訓読み)
尊敬語(相手が主語)…お~になる 例:お書きになる/お待ちになる
謙譲語(自分が主語)…お~する、お~いたす 例:お書きする/お待ちする
●漢語(音読み)
尊敬語(相手が主語)…ご~なさる、ご~になる 例:ご報告なさる/ご希望になる
謙譲語(自分が主語)…(ご)~いたす 例:ご報告いたす(※)/希望いたす
●便法(和語・漢語どちらにも使える)
尊敬語(相手が主語)…~れる、~られる 例:案内される/休まれる
謙譲語(自分が主語)…(ご)~させていただく 例:ご案内させていただく(※)/
休ませていただく(お休みさせていただく)
(※)謙譲語でも、必ず相手が存在する動作には、前に“ご”を付けましょう。
しかし上記のような規則性には当てはまらず、言葉の形そのものが変わってしまう「置き換え法」ともいわれる特殊な敬語があるので注意が必要です。下記は電話対応でよく使う置き換え法の敬語を一覧にまとめたものです。
電話対応でよく使う敬語一覧表置き換え法
置き換え法の敬語は、特に複雑で普段から使い慣れていないと電話対応中にとっさに思い出せないケースが多々あります。中には、間違って使っていたという言葉もあったのではないでしょうか。
普段から、尊敬語と謙譲語の使い分けを意識して敬語を使用していくことが、適切で好印象の電話対応を行うコツです。
電話対応でよく使う敬語一覧③|接遇用語を上手に使いこなそう
接遇用語とはお客様と応対する時の言葉です。電話では相手の顔が見えない、こちらの顔もまた見えないという状況ですので、声と話し方で自社の印象の良し悪しが評価されてしまいます。接遇用語を上手に使いこなすことで好印象の電話対応につながります。
電話対応でよく使う接遇用語一覧を下記にまとめていますので、対応時の参考にしてみてください。
敬語一覧表接遇
これらの接遇用語を覚えておくことで、電話対応をスムーズに行うことができますが、このフレーズだけを実際の電話対応で使うと、正しい敬語を使っているにも関わらず、淡々とした冷たい対応であると捉えられかねません。
そこで、プラスで覚えておきたいのが“クッション言葉”です。
例えば、用件を言っていただけないときに、ただ「どのようなご用件でいらっしゃいますか?」と聞くよりも、「失礼ですが、どのようなご用件でいらっしゃいますか?」とお聞きした方が丁寧で良い印象を受けると思います。
「差し支えなければ~」「申し訳ございませんが~」「恐れ入りますが~」「失礼ですが~」「お手数ですが~」「恐縮ですが~」といったクッション言葉を組み合わせて使いましょう。
電話対応でよく使う敬語一覧|敬称の正しい使い方
とっさの電話応対で間違えてしまいがちなのが、自社スタッフに対しての敬称です。
普段社内では「山本さん」「田中課長」などと敬称を付けて話しているので、お客様との電話の中でも、「田中課長はお手すきでしょうか?」と聞かれて、ついうっかり「田中課長ですね。少々お待ちくださいませ。」とつられて言ってしまう若手社員が多いですが、これはビジネスマナーとしては不正解にあたるので気をつける必要があります。
お客様応対する際には、社内のスタッフは自分の身内と考えた言葉遣いにしなくてはなりません。つまり、例え上司であっても、自社の社員のことをお客様に言う時には「課長の田中は、只今、外出しております。」のように、“謙譲語”を使う必要があります。
また、「部長」「課長」といった役職名は「田中課長」のように、名前の後ろにつけてしまうと、敬称と同じ役割を果たしてしまうことになるので、社外の人やお客様に、自社スタッフのことを言うときには「田中は~」と呼び捨てにするか「課長の田中は~」のように敬称を名前の前につけることを意識して気を付けるとよいでしょう。
好印象の対応には正しい敬語が必須!敬語一覧だけに頼るのはNG
今回ご紹介した敬語一覧は、知識や経験の不足を埋めて、お客様や取引先様が、新人社員と先輩社員のどちらと応対しても不愉快な気持ちになられないように、大きく会社のイメージを崩してしまわないようにあるものです。この敬語一覧を基本として、さらにお客様に感動していただく電話対応となるように努めることが大切です。
ビジネススキルの基礎として学ぶ敬語は、社会人経験の長い先輩社員であっても、間違えることがあるほど複雑です。そのうえ正しい敬語をとっさの電話対応で使えるほどに身に着けるには多くの時間と経験が必要です。
電話の質を今すぐに上げたいのに、新人社員にそんな教育する時間がない!教える人員を割けない!という役職者の方は、電話代行サービスを使ってみてはいかがでしょうか。
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また、自社に合った電話代行サービスを選べば、
●自社の対応マニュアルに沿った、電話対応をしてもらえます。
●基本の外出対応以外にも、簡単にご用件をお伺いした上で報告メールを受信できます。
●社員の在籍登録をしておくことで、新規の問い合わせはAさんへなど、担当者別に振り分けて報告を受信できます。
●相手がお急ぎの場合、緊急度が高いお電話の場合は、メール報告ではなく、内線感覚で電話を取ることも可能です。
●メールだけではなく、普段社内でお使いのSNSチャットツールでの報告受信ができるので外出が多い営業マンも安心です。
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