【目次】
リモートワーク時代のコミュニケーションツール
新型コロナウイルスの感染拡大によって加速した変化の1つが、リモートワークの普及・拡大だ。職場に顔を出さなくて済むことのメリットは大きいが、それもデメリットを克服できてこそだ。そのデメリットの最たるものが、コミュニケーションに関する障害だろう。何しろコミュニケーションの本質を考えれば、面と向かい合って話をすることに勝るものはない。それでもリモートワークを少しでも快適なものにするために、いろいろ新たなコミュニケーションのツールが生まれてきている。これから先、ますますこうしたツールの利用が進むのではないだろうか。
いろいろあるツール
特にビジネスで使われるものに絞ってどのようなものがあるのか、その一部を列挙してみた(参考:「ゼロからはじめるChatwork基本&便利技」)。
・Chatwork 2011年にリリースされた。2020年5月現在、導入社数は26万社を超えていて、国産のビジネスチャットツールとしては「ワンバー1」の実績なのだという。最大の特徴は本格的なタスク管理にある。チャット機能は非常にシンプルで使いやすさを売りにする。
・Slack 2013年に米国でリリースされた「IT系に人気」のツールなのだという。Twitterやメール、Googleなど各種アプリや外部ツールとの連携機能が充実している。
・LINE WORKS 2017年にワークモバイルジャパンが提供を開始した。LINEのチャットやスタンプなどをはじめ、仕事上で活用できる機能を備えた「ビジネス版LINE」。
・Yammer Microsoft365のアプリとして含まれている「社内チャットツール」。同じメールアドレスドメインを持つユーザー同士のみ連絡ができる。
・Talknote 2011年にトークノートが提供を始めた。独自の人工知能で社員同士のやり取りを解析できる。
いずれもスマートフォンの時代に合わせた情報共有の仕方としてビジネスシーンで広く使われている。「情報共有」と一口で言っても、同僚や上司だけでなく、取引先や委託先などに至るまで、プロジェクトを一人で企画・運営・管理するならともかく、何人ものメンバーとチームを組んでビジネスを進める場合、それはとても大切な要の部分だ。上記のようなツールはそもそもメールの「cc」に入れたり、転送しただけで「共有した」ものとして安心したり、メールの添付ファイルやクラウドストレージの中に埋もれたままになっていたり、古い情報がそのまま残っていたりするのを、根本的に変えていくことを目指す。
スマホ1台あればOK
例えば、Chatworkであれば、以下のようなメリットが挙げられている。
・テンポの良いやり取りが可能
メッセージでやり取りを行うので、メールのように「送ったけど届いていない」というような現象を起こさずに済む。要件のみの短い文章でやり取りすれば、会話もテンポよく進めることができる。また、相手とのチャットになっているので、これまでのやり取りを遡ることもでき、どのような話をしていたのかを確認することが容易にできる。
・複数人への一斉連絡も簡単
グループチャットを作成しておけば、決まったメンバー全員に連絡を一度に済ますことができる。
・添付ファイルは5GBまで対応できる
添付ファイルのデータサイズは最大5GB(有料プランでは10GB)まで送付することができる。なお、すべてのデータは暗号化されているため、個人情報などの情報漏洩に対する対策もできている。
・豊富なデバイスで利用することができる
さまざまなデバイスで利用することができる。会社に置いてあるパソコンだけでなく、外出先のスマートフォンなども使って、いつでもどこでも対応することができる。
こうした基本的な機能は他のツールでも同じようなものだから、後はいろいろな使用場面に応じた使い勝手を確かめてツールを選べば良いだろう。
他社のサービスとも連携
少し足すとすれば、Slackでは他社のサービスと連携できる「Slack App」という仕組みを持っている。例えば、SlackからGoogleドキュメントを作成して部内のファイルとしてまとめたり、Googleカレンダーに登録したイベントをSlackから通知してもらったり、メッセージの履歴をEvernoteへ記録するなどの操作ができる。つまり、実際のファイルの置き場所がGoogleドライブなどであっても、起点としてSlackを使うことができるということだ(参考:「『明日からSlack使って』と言われたら読む本」)。
サイバー対策としてもデータ管理は必要
特に最近では、ビジネスの場を舞台にサイバー攻撃が広がっている。大手ITベンダーや自動車メーカー、市立病院など、クライアントパソコンやサーバーにあるデータを暗号化して身代金を要求するランサムウエアの被害に相次いで遭っている。最近ニュースになったこれら企業は、規模だけでなく業種もさまざま。このことに対してデータを素早く確実に保護しておく必要が出てきている。先に挙げたツールは特にこうしたサイバー攻撃を防ぐものとしての機能をうたっているわけでなないが、少なくともあちこちに置きっぱなしになっているデータを一元管理することを通じて、これらの予防・対策にも役立つのではないか。