それぞれあるメリット、デメリット

新たな事業に投資すべきかどうかの判断は企業経営者にとってとても大切になる。例えば、今100万円を投資すれば、一年後に105万円になる投資案件があったとする。但し、手元に資金がないため、銀行から資金を調達する。この時、銀行から資金を利子8%でしか調達できない場合と、3%で調達できる場合とでは、投資の評価が変わってくるのは自明の通りだ。利子が8%の場合は支払う金利の方が事業のリターンより多くなるため、投資のメリットがなくなる。

このように投資の評価は資本コストを考慮に入れて検討する必要がある。新しい事務所をオープンする、設備を新しくする、古くなった設備を取り換える、子会社を設立する…など、資金を投入して企業は成長する。このように企業活動にはさまざまな投資案件があるが、その投資を実行するのかどうかの判断をどこかでしなければならない。この投資評価の方法に代表的なものとして3種類ある。「正味現在価値法」「内部収益率法」「回収期間法」がそれだ。以下に順番にそれぞれどういったものかを説明するので、これからの投資評価に役立ててもらいたい。

将来得られるキャッシュフローを現在価値に戻して評価する正味現在価値法

「正味現在価値法」は投資によって将来得られるキャッシュフローを現在価値に割り引き、そこから投資額をマイナスして正味現在価値(NPV)を計算する。つまり、それは投資から得られるリターンの大きさを示す。この正味現在価値がプラスであれば、投資を実行すべきという判断になる。複数の投資案件がある場合は、最も正味現在価値が大きな投資案件を選択するのが合理的だ。

例えば、今、新規設備を500万円で購入する投資案件があったとする。この投資によって今後5年間に渡って毎年100万円のキャッシュフローを得ることができると考えられる場合、単純に100万円×5年間=500万円でこの投資の採算が合うかと言えば、そうはならない。将来の100万円と今の100万円とでは、資本コストを考えると価値が違うからだ。

それでは1年後100万円、2年後100万円、3年後100万円、4年後100万円、5年後100万円のそれぞれの価値を現在の価値に置き換えると、どのくらいになるのだろうか。これを考える時に用いるのが年金原価計数だ。これは別途調べる必要があるのだが、今、資本コストが10%としたときの5年後の年金原価計数は3.790となっているので、100万円×3.790=379万円となる。ここから投資額の500万円を引くと△121万円ということになり、NPVがマイナスになるので、この投資は行うべきではないという判断ができる。

同じ投資判断の中での優劣が分からない内部収益率法

「内部収益率法」の内部収益率(IRR)とは、正味現座価値がちょうど0になる割引率のことをいう。正味現在価値が0というのは、投資を行うための最低条件になる。この時の割引率、つまり内部収益率と、資本の調達コストである資本コストを比較して、内部収益率の方が大きければ投資を行うという判断ができる。

例えば、今、投資額が80万円で、それによって生み出される1年後のキャッシュフローが100万円ある投資案件があったとする。この時の内部収益率を求める式は、
0=100÷(1+r)-80
で、r=0.25となる。
つまり内部収益率は25%となり、もし資本コストがこの25%より小さい場合は投資を実行すべきという判断ができることになる。

上記は計算を簡単にするため例を単純化したが、内部収益率法の問題点として計算が複雑になり勝ちということがある。また、投資を行うべきかどうかという判断はついても、複数の同じ内部収益率を持つ投資案件があった場合、それらの投資を行うべきかは判断できても、その優劣を競うことはできないという問題もある。

計算が簡単な回収期間法

「回収期間法」は上記の方法と比べて最も単純な方法だ。投資額に対して、それを回収する期間を求める。回収期間が目標よりも短ければ投資を行うという判断ができる。

投資の回収期間を求める式は以下の通り。
回収期間=投資額÷キャッシュフロー
例えば、投資額が100万円でキャッシュフローの金額が1年後に20万円、2年後に30万円、3年後に40万円、4年後に50万円の投資案件がある時を考える。この時、キャッシュフローの累計額は2年後に50万円、3年後に90万円、4年後に140万円になる。
さらに正確に回収期間を計算すると、
3年+(100万円-90万円)÷50万円=3.2年
となる。

これが仮に回収期間の目標が3年だと投資すべきでないとなるし、4年だと投資すべきとなる。
この問題点は目標となる回収期間をどのように定めるかが不明確であったり、投資を回収した後のキャッシュフローを考えていないということがある。

経営の選択肢も投資評価に反映できるリアルオプションアプローチ

これら以外にも、さらに近年では不確実性の高い経営環境のもとで投資プロジェクトに対する経営の柔軟性を評価する「リアルオプションアプローチ」という手法が提唱されている。このリアルオプションとは、不確実性の高い経営環境のもとで、経営やプロジェクトが持っている意思決定の選択権や自由度(柔軟性)のことをいう。投資の実施・延期・中止といった将来の意思決定の選択権や自由度(柔軟性)を経済的な価値と見なし、将来の期待利益とリスクを加味して数値化することで、投資プロジェクトを評価する。投資プロジェクトを継続するか、取りやめるか、延期するかなど、経営において必要となるさまざまな意思決定の選択肢を投資プロジェクトの評価に反映させることができるのが特徴だ。

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