注目集めるオープンイノベーション

企業が自社で抱えている従業員や自社で持っているお金や技術、ノウハウで事業が起こせているのならそれに越したことはないのだろうけど、商品やサービスの高度化、複雑化、モジュール化に加え、それら商品・サービスがせっかく事業の柱になっていても、そのライフサイクルの短期化、新興国における企業も含めた競争の激化から、なかなかこれら“自前主義”でのイノベーションには限界が来ていると言われる。それに代わって期待されているのが、外部の技術やノウハウを活用した“オープンイノベーション”で新しい商品開発・サービス化の実現への取り組みだ。

このオープンイノベーションにはその中でもいくつかのパターンがあると言われる。まず外部の技術やノウハウを自社内に取り込み連携を図る「アウトサイドイン型」、その反対に自社の技術や知識を社外に発信することで連携を促す「インサイドアウト型」がある。加えて、それらの取り組みは、広く連携先を募り共同開発をしていく「多対多の連携型」へと広がっているとされている。

たとえ起業に漕ぎつけても、起業時の事業がそのままの状態で何年も競争力を維持することは難しい。そこで特に中小企業でオープンイノベーションの状況がどうなっているのか、中小企業白書2020年版からそれを見てみることにする。

一口にオープンイノベーションといっても…

実際にオープンイノベーションに取り組んだ時の効果を見てみると、製造業では「知識・ノウハウの蓄積に効果があった」が43.0%、「新規の技術開発や製品・サービス化に成功した」が41.9%、「知識・ノウハウの蓄積に効果があった」が43.0%と続く。非製造業では「知識・ノウハウの蓄積に効果があった」が45.6%、「人材育成につながった」が41.3%、「知識・ノウハウの蓄積に効果があった」が36.4%などとなっている。一方で「特段の効果は上がっていない」とする企業は製造業で4.4%、非製造業で3.4%しかなく、何らかの成果を得た企業が大半を占めることが分かる。

同業種内のつながりも大切

企業のオープンイノベーションの連携先として最も多いのが「同業種の国内中小企業」。47.3%を占める。次いで「異業種の国内中小企業」が30.4%、「同業種の国内大手企業」が23.0%などとなっている。

そのオープンイノベーションを成功させるためのポイントはどこにあるのだろうか。同じく中小企業白書2020年版に掲載されているアンケートを見ると、製造業、非製造業ともに回答が多いベスト3は、「連携企業との事前の信頼関係」(製造業78.3%、非製造業75.5%)、「明確なゴールの設定と共有」(製造業51.1%、非製造業48.5%)、「自社・連携先の意思決定スピードの早さ」(製造業34.5%、非製造業38.0%)と続く。

逆にオープンイノベーションに取り組んでいない企業にその理由を聞いた結果では、製造業、非製造業ともに「社内の人数が少ない」「特になし」「自社内に他社が活用できる技術やノウハウがない」といったところが多い。しかし、そうした技術や自社内の資源不足以外に、「自社の技術やノウハウ流出の可能性がある」「外部の連携先・仲介者が見つからない」という回答も製造業を中心に多くある。そうした自社の技術・ノウハウの流出懸念に対しては、工業所有権情報・研修館の知財総合支援窓口(特許庁普及支援課)などを活用することもできる(参考;http://www.jpo.go.jp)。

オープンイノベーションを巡るさまざまな支援

この特許庁普及支援課では、中小企業などの更なる成長、発展に知的財産を役立てていくために、さまざまな支援策の企画・立案、実施を行っている。具体的には「産業財産権専門官」が全国各地に赴き、中小企業に直接訪問することで知的財産活用の相談対応や各種支援策の紹介、支援機関などが開催するセミナーや説明会での講演活動などだ。

オープンイノベーションについては、国内最大級のオープンイノベーション・プラットフォームを運営するCreww(東京都)のような企業もある(参考;https://crew.in)。ここでは豊富な経営資源を持ち新規事業の創出を目指す事業会社と、独自のアイデアやノウハウを持つスタートアップ企業をマッチングし、両者の共創による新規事業の創出を支援するサービスを提供している。提供するサービスの一つには、事業会社が実現した新規事業案(プログラム)を提供可能な経営資源と共に公開すると、関心を持ったスタートアップ企業が応募し、新規事業の協業アイデアを事業会社に提案する仕組みになっている。

是非これらのことを参考に、事業の拡大に役立ててほしいと思う。

株式会社 大阪エルシーセンター CUBE電話代行サービスグループ
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