その借金、本当に大丈夫?

起業に当たってどの程度の資金を用意すればいいのか。私は特に自他ともに認める小心者ゆえ、起業時だけに限らず借金は少ないに越したことはないと思っている。「当たり前だろう」と思われるかもしれないが、そんな方でも世間で「レバレッジが効くから経営者的な視点からは借金をする方が理にかなっている」と言われることを一度は耳にされたことがあるだろう。これはどういうことかと言えば、「レバレッジ」とは梃子のことで、例えば自己資金が同じ100万円しかない者同士でも、一方は200万円を借金して総資金を300万円にすることができたとすれば、同じ自己資金で3倍の規模のビジネスをすることができるという理屈だ。

それで利益率を仮に30%とすると、一方は100万円×30%で30万円の利益に留まるが、もう一方は300万円×30%で90万円の利益を出すことができる。どちらも同じ自己資金100万円だ。また仮に自己資金300万円を得ても同じ90万円の利益が出せるが、この場合と比べても、全てを自己資金で賄うのでなく200万円借金すれば、法人税が仮に30%とすると200万円×30%で60万円もの節税効果を得ることができる。

どっちにしても大分差がつくようにも思うが、借りた金は返さなければいけない。特にはじめてのビジネスの時はそれがうまくいくかどうかの判断材料がないわけだから、リスクは最小化しておく必要がある。実際にビジネスをはじめてみれば分かるが、1万円を稼ぐことがいかに大変かということだ。でも、1万円の支出は少し我慢すればできる。どうしてもケチな考えになってしまうが、それくらいでないと悪くすれば起業するまでに資金が尽きてしまうことにもなりかねない。

甘い経費の見積もり

実際、起業するに当って起業までにかかる経費を甘く見る起業家が案外多いと聞かされる。起業までにかかる経費が多くなって、開業時にすでに資金が苦しくなった状態になってしまうと、開業と同時に資金繰りに走らなければならなくなる。こうなると、本来は営業に走り回って事業を軌道に乗せなければならない時期のはずなのに、それができず、その先の見通しもつかないままになっていく。欲を言えば、事業が軌道に乗るまでの間の生活費まで、起業のはじめには初期費用として見積もっておいた方が安心だ。ここまでくると、「さすがにそれは初期費用ではないのでは」と思われるかもしれないが、実際に経済的に苦しくなって事業に影響する可能性を考えれば、その前に予算をやり繰りしておく方が余程健康的でもある。

では初期費用にはどのくらい必要になるのだろう。事業によってさまざまなのだが、ここでは例えば飲食店のように店舗を出すビジネスを考えてみよう。
どうしても必要となる経費の種類としては店舗の保証金・敷金/仲介手数料/前家賃/内装工事等/備品類/名刺類/案内状/広告宣伝・チラシ作成/WEBサイト/初期仕入れぐらいか。

これに先ほどまでお話した開業前の経費として、人件費/家賃/軌道に乗るまでの生活費/予備費が挙げられるだろう。生活費としては数か月分、できれば6か月分程度は見ておいた方が良い。

日本政策金融公庫の活用

各項目でどの程度出費を抑えられるかは大切だが、とにかくここまでの支出をすべて自己資金で賄うことができるのなら良いのだが、自己資金が不足している時、まず両親を含む親類縁者、友人・知人から借りることを思い浮かべる人が多いだろう。それが最も良いと考えるのが普通だが、但し、それも「きちんと返せるなら」という条件が付いたうえでのことだ。もし返せなくなった場合は、自分が最後の拠り所となるこれらの人々との関係にひびが入ることになる。そうなると文字通り地獄だ。

次に考えられるのが、日本政策金融公庫からの借り入れだ。日本政策金融公庫にはまず新創業融資制度という制度があって、創業や新事業を行う者に対して、無担保・無保証人での融資を行ってくれる。注意をしなければいけないのは、融資の対象になるのは新たに事業を始める者や、すでに開業している場合でも税務申告を2期終えていない者だけだ。そして、創業資金の10分の1以上の自己資金のあることが確認できる必要がある。

貸付の限度額は3000万円(運転資金は1500万円)で代表者の保証も不要だ。これはすごいことで、一般的に考えてみても、人にお金を貸す場合、見ず知らずの人に無担保・無保証人・代表者の保証も不要でお金を貸すことなど考えられるようなことではないことが分かると思う。
日本政策金融公庫だけでも、このほかに女性、若者/シニア起業家支援資金があったり、その他のものもあるので、一度相談してみると良い。

どのくらい借りられるかでなく、どのくらいなら返せるのか

金融機関から金を借りる場合、意外にも金利に対する感覚が乏しい人が多いとされる。借金をする時は「どれだけ借りられるか」に意識が向いてしまうため、金利に注意することが少なくなっているのだそうだ。しかし、例えば借入期間5年、元金均等返済の場合、金利が1%異なると5年間の支払い利息合計は元本に対して約2.5%増加する。つまり、1000万円借りた場合、25万円増加するということだ。

ここで「何だ、たった25万円くらいか」と思うようであれば経営者失格だろう。ベテランになるほど、この金利も0.1%を値切るようになるとされる。経費を削減するのは、売上を伸ばすことと同義だからだ。
返すお金の利息が増えるということは、採算をとるための売上の必要金額も増えるということだ。25万円の利益を上げるためには、どれだけの売上が必要になるのか。飲食店なら一般的に利益率が10%あれば良い方とされるが、それなら250万円の売上が必要になってくる。250万円の売上を上げようと思えば、何人のお客を呼び込む必要があるのか。客単価が1000円としても、2500人になる。1年間無休で働いても1日7人弱の客数増を実現しなければならない計算だ。それがどれだけ大変なことか、ここでうだうだお話しするより、それは各人の想像に任せたい。

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