好奇心がカギ

英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授が発表した論文によると、2030年に仕事で必要とされるスキルの中で、最も上位に挙げられるのが「戦略的学習力」だとされる。ここでいう戦略的学習力とは、「新しいことを学ぶことのスキルが高いこと」を指す。これからの変化の激しい社会の中で、「今までこうだったから」とか、「こういうやり方が正しかったから」という考え方が通用しなくなり、これまでの延長線上に問題を解決する方法とは別な方法を探さなければならない時代にあることが背景にある。具体的には、新しいことを知っている人を周りに置き、付き合っていくというのも戦略的学習力の一つになる。

社内にあってはそれを限られた時間の中でいかに効率的に仕組みとして作れるかが問われる。この戦略的学習力で大切なのが「新しいことを知りたい」という好奇心。先ほども述べたように、これからは今までのやり方を変えないで勝ち続けることなどほとんどできない時代になる。ビジネスはどんどん変わっていくはずで、従業員たちの役割や仕事のやり方もどんどん変わっていく。私たちはこうした動きの中で何をどう変えればよいのか、変えるべきことをしっかりと知ることが必要になっている。

成長する楽しさ

ビジネスは常に前進していく必要があることは言うまでもない。いつまでも同じことを繰り返し、商品やサービスが全く変わらずにいることはできない。そうした「現状維持」は即ち、社会からの脱落を意味する。これらを良い方向に変えることが成長だ。そして会社はお客様を喜ばせるために成長し続けなければならない。ところが、最近の特に個人事業主や零細・中小企業の中には現状維持でも仕方なしとする傾向が強いという話を耳にしたことがある。それが本当ならとても残念なことだ。成長することの楽しさを是非味わってもらいたい。そして、その会社の成長には従業員一人一人の成長が欠かせない。

例えば、「できないことができるようになる」「お客様にとても感謝された」「他の人ができないことでも、あなたならできると言われた」というようなことがあった時、人は単純にとても嬉しく感じるだろう。私たちは誰でもが働く上でお客様を喜ばせるという使命を持つ。だからそのために成長しなければならないし、それができれば当たり前にワクワクするし楽しいので、また繰り返し成長を目指す。この時の成長とは、「できないことをできるようになる」ということに他ならない。例えば、これまで10分かかっていたことを、半分の5分でできるようになることも一つの成長だ。

競争相手は過去や未来の自分

この成長ということでは、「誰と競争しているのか」という視点を間違えてはならない。結論から言うと、競争相手は間違いなく「自分」になるだろう。言うまでもなく、今の自分は未来に向かって時間を過ごしている。昨日より今日、今日より明日という風に比較し、成長していなかったら過去の自分に対する負けを意味する。他方、未来にこうなりたいということから逆算して今の計画を立てていたとしたら、その計画が全く達成されていない場合には未来の自分に負けていることになる。つまり、競争相手は「過去」の自分や「未来」の自分にあるという視点で考え、成長にこだわらなければならない。

そして、できないことに挑戦していく過程で最初に直面するのは、「できなかった」という事実だ。これを「失敗」と捉える人が多いのだが、失敗とはむしろできることだけを続け、できないことをそのままにしておくことではないか。できないことに挑戦すると、どうしても「できなかった」と思ってしまうことが必ず起こる。しかし、これは「失敗」とは呼ばない。「何が失敗なのか」を間違わないことはとても重要だ。誰でもまだ小さな頃に自転車に初めて補助輪なしで乗ろうとして、1回目から乗れてしまう人なんて世の中にいなかったはずだ。しかし、それを誰も失敗とは呼ばない。それは転ぶことが成功に紛れもなくつながっているからだ。

人間的な魅力を持つ

人間的な成長についてのポイントをいくつか挙げるとすれば、その一つは「他責」を絶対に避けるということだ。他責とは何かが起きた時にそれを全て誰かのせいにするということ。例えば、営業の成績が芳しくなかった時、「そもそも業界全体に業績が下がっているから仕方ありません」「売上が下がっているのは外部の環境が悪いからです」というような問題の原因を外のせいにするというのが他責。他責の人が成長することはない。何かのせいにするのは簡単で楽だが、同じ問題に対して、「もっと良くできないか」と自責的に考えられる人とは天と地ほどに差が出るのは言うまでもない。

また、何か物事を進める時、1人で頑張る分には限界があるが、100人の人に会ったとして、自分がもし「あなたに何か協力できることはないか」と思ってもらえるような人だったら、自分を応援してくれる100人を仲間にすることができる。どんなスーパーマンであっても1人でできることはたかが知れている。「人間として素敵だな」「何かお返しできないかな」と思ってもらえるような人間的な魅力が備わっていれば人は動かされる。自分というものをもっと磨き上げ素敵な人になることで、仕事もできるようになりどんどん成果が生まれるものだ。

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