計画のあるところ問題もあり

問題とは計画と現状の差である。そんなことは分かっていると言われるかもしれない。しかし、売り上げが計画に達していないのなら、その差が問題なのだ。生産計画に対して、現状遅れているのなら、その差も問題だ。不良品というのも、目標の品質までいっていないから問題なのだ。こう考えると、経営者なら安易に「現状に問題は何もない」などとのほほんと構えていることなどできないはずだ。逆に、問題が何かを分かっていずに、やたらと「問題だ」と会社中を触れ回っているのも良くない。問題とは解決しなければならないことを指す。それが何かを分からずに触れ回るのは、雰囲気を暗くするだけで何の役にも立たない。

「問題がないはずはない」と言っても、問題が計画と現状の差であることは冒頭お話した通りだ。だから、そもそも方針や目標、計画などのないところには問題は存在しない。あるのは、何となく伸びない売り上げであったり、何となく遅れていそうな生産であったり、また、相変わらず改善されない不良品の山であったりするだけだ。その場合は、問題がないことこそが問題になる。「(こういう時代だから)ある程度の売り上げ不振は仕方ない」と考えている経営者には、売り上げ不振も現状としては認められても、それは問題にはならないのである。

問題にも急性と慢性の2種類

その問題には急いで対応しなければならないものと、じっくりと対応すべきものとがある。人間の病気にも急性と慢性があってそれぞれに治療法が異なるように、どちらの問題かによって対応も異なってくる。急いで対応しなければならない問題の場合は、1.問題をつかむ、2.対策をとる、3.原因を調べてこれを除く、のように対策をとることが優先される。機械が故障したとか、作業者が欠勤した、外注品の届くのが遅れているなどの場合がそうだろう。まず今起きている火事を消すことが先で、原因は後から調べればいい。ところが、会社の中では対策もとらずに責任を追及するようなことをしばしば行っているのだ。

よく「○○対策会議」と銘打って管理職の人たちが集まって、もっぱら責任者の責任追及をしている。目の前に今すぐに処置の必要な患者がいるのに、その患者に生活習慣の見直しを問うてるようなものだ。ご本人たちは大真面目で問題を処理しているつもりでも、対策が後回しになっていて、話し合っている最中にあっても問題を深く大きくしていることにお構いなしだったりする。だからこうした会議で問題が解決することはない。もちろん問題が起きたことの原因を調べることも責任追及も大切だが、それはまず問題を解決させた後でじっくりやればいいだけの話だったりする。

対策が先か、原因究明が先か

これに対して、じっくり対応すべき問題への対処法は、1.問題をつかむ、2.原因を明らかにする、3.対策をとる、の順番が基本だ。先の急いで対応すべき問題の場合と、対策をとる順番と原因を調べる順番が入れ違いになっていることに注意をしなければならない。この慢性問題に対しては、急いで対応すべき問題と違って、その原因をよくつかまずに手を打つことは危険だ。原因をはっきりとつかんだ上で、抜本的な手を打たなければ、事態はいつまでたっても改善しない。そもそも肺炎を起こしている患者に、風邪の処方をしても容態は良くならないばかりか、かえって悪化するばかりである。

不良の原因をよく調べもせずに手直しばかりに動き回ったり、外注品の遅れに督促をするだけで事足れりとしていたり、顧客からの苦情にその場しのぎの対応で済ませ、さも問題が解決したかのように振る舞っているのはこうした例である。経営者らが悩むのは、どちらかと言えばこのじっくり対応すべき問題への対処法だ。これが難しいからこそ、問題が慢性化しているのだとも言える。これを解決するには、ただやたらと問題をこねくり回してもダメで、まず必要な問題の本質をつかむこと以外にも押さえておくべきポイントがいくつかある。

考えられる対策をすべて出す

まずは問題となっている原因の特定についてだが、問題には常にいろいろな原因が絡み合っているものだ。その中から最も支配的な原因をまず押さえなければならない。そうすると、後は芋づる式に解決する点をつかむことができることも多い。

そして、考えられるだけの対策を列挙してみることだ。間違っても1つだけしか対策を挙げないのはダメだ。そして、どんな対策にも必ず欠点があることをわきまえておかねばならない。しかし、いちいちその欠点をあげつらっていたのでは問題は解決しない。考えられる対策をすべて挙げてみると、一見、非常識と思われる対策や、実現不可能と思われる案に、すばらしい解決策を見つけることができることもある。とにかく、どのような案が出ても、それに対して批判するのでなく、出そろった案について客観的に、その利害得失を検討していかねばならない。

どの案をとっても必ず利害得失はあるから、後、必要になるのは決断だ。そこで躊躇するのは、どんな対策をとることよりも劣ることだということをしっかり頭に叩き込んでおいて欲しい。以上、問題解決の参考になれば幸いである。

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