【目次】
身近な生活習慣病
リモートワーク、リモート会議、不要不急の外出自粛…でこのところめっきり外を出歩くことが少なくなっている。外出する際も、マスクをすることが息苦しく感じるのが嫌で、できるだけ電車やバスなどの公共交通機関を避けてマイカーを利用するので、余計に歩かない。こうなるとやはり気になるのは運動不足だ。心なしかお腹回りも気になるようになってきた。日頃血圧が高めなので近所の内科医にかかっているが、その先生曰く、私のようにいわゆる生活習慣病にかかる人が増えるのではないかと懸念しているという。まあ、医者の立場からすれば、患者が増えるのは悪い話ではないのかもしれないが…。
生活習慣病と聞いて、すぐに思い浮かぶのは高血圧、脂質異常症、糖尿病(高血糖)、そしてその先にある動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中といったところだろうか。これらは「生活習慣病」と名付けられることが示すように、日々の生活習慣の積み重ね、例えば不適切な食生活や飲酒、喫煙、運動不足などによって起きるとされている。日々の生活習慣によって起きるのであれば、同じく生活習慣によって予防することもできるはず―ということで、それに向けたポイントを探ってみた。生活習慣によって飲まなければならない薬から解放され、また薬による副作用に悩むことがなくなるだけでも大いにメリットはあるはずだ。
毎日体重計に乗ることから始めよう
よく言われることだが、生活習慣病は肥満に始まり、肥満解消に終わるとされる。どうも人間も含め、動物の体というのは、食べ物がない状態に対応するために、エネルギーを溜め込むようにできているらしい。私たちは太平洋戦争後半から戦後間もなくにかけて食べる物さえない貧困の時代を経験した。それはつい70~80年前の話でしかない。その後、高度成長時代を経て、飽食の時代を迎え、加えてコロナ前でもすでに昔と比べて格段に運動量が減った生活をしてきた。朝ごはんをすきなだけ食べて、電車に乗って通勤し、会社ではほぼ座りっぱなし。ランチでも好きなものを食べて、15時頃何となく口がさみしくなってお菓子をつまむ…。
肥満が生活習慣病の始まりなら、肥満さえ防げば生活習慣病の心配はほぼなくなるということでもある。その第一歩はまず、自分の体重を知らなければならない。自分の体重くらい大体分かっているつもりでも、「今日の体重は何キロ?」と聞かれて即答できる人は果たしてどのくらいいるだろう。毎日、体重計にのって、自分の「今」の体重を知って意識するだけでも、確実に痩せることができるとされている。今日の体重は昨日1日に採った食事の量が反映される。500g多ければ、今日1日はその分運動をするか、食事の量を減らすか、自分で考えることができる。
定期的に簡便な断食を
体重を減らす方法は巷にいろいろ喧伝されているものがあるのでそれに譲るが、私が今、最も気にしているのが「1日断食」と言われるものだ。これは定期的に最も簡便な断食を行って、体重をコントロールする方法とされる。摂取するエネルギーを断って、消費エネルギーを下回るようにすることで減量効果を得る。「断食」とはいっても、何も食べないわけではなく、例えば、断食前日までは通常通りの食事を行い、断食当日は、朝食をいつもの3分の1~半分程度の軽い食事にする、昼食は採らない、夕食はスープだけにする、といったものだ。
このように「1日断食」といっても、まともに食事を抜くのは昼食の1食のみ。それでも昼にいつも取っているエネルギーをまるまるカットするうえ、朝と夕もごく軽めに食べるだけだから、1日の摂取エネルギーはかなり抑えられることになる。ここで最も大切なのは夕食だそうで、お腹の状態は昼食を抜いているためにペコペコのはずなのだが、だからといって夕食で一気に食べてしまうと、むしろ摂取エネルギー過多になる恐れがある。しかも、日中に飢餓状態にあった体はエネルギーを溜め込もうとするため、せっかく断食をしているのに台無しになってしまうのだそうだ。
歩いてカロリーを消費
もう一つ、私が意識しているのは歩く量だ。目標は1日1万歩。でも歩く機会がない。私の近所に住む友人は歩く機会を作るためという理由もあって、犬を飼い出した。毎日犬の散歩をするのだという。自分一人の散歩と違って、これだと嫌も応もない。毎日続けなければ犬が困ってしまう。それで雨が降っても、風が吹いても朝夕の散歩を続けている。このような犬がいなくても、階段は使わない、街中の店などに入る時もエスカレーターやエレベーターは使わない…といった工夫で数千歩を歩くことはさほど苦労しなくてもできるのではないか。いつもと違う道を通ることで、まったく異なる風景に出くわす楽しみもある。
断食にしろ、散歩にしろ、すでに分かっている話ばかりだ。要するにそれをいかに実行するかが問題なのは分かっている。私自身、散歩は毎日しているが、「1日断食」の方のチャレンジはまだこれからだ。「自分でやってから言え」というお叱りの言葉が今にも聞こえそうだが、有言実行のつもりであえてお話ししたつもりだ。私は冒頭にもお話したようにすでに高血圧で薬を処方してもらっている身だから、まだそうでない人より悩みは切実だ。皆さんも私のように実際に医者にかかるようになる前に、早めに対策を計画し、実行されることをお勧めする。