危機を乗り切り、将来への布石を打つために
新型コロナウイルスの経済や社会における影響が懸念されている。すでに出勤の自粛要請や休業要請などで直接的な影響を被っている企業は多いだろうが、むしろ「危機モード」に入った消費の落ち込みなど、これから深刻な影響がより広く、深く及ぶことが懸念される。本来、こうした危機的な状況をむしろ変化へのチャンスと捉えていくのが、それぞれの経営に必要な動きなのだろうが、そのためにも今を乗り切るための目先の対応は重要になってくる。以下に4月23日現在の新型コロナウイルス感染症関連の国や金融機関の主な支援策をまとめてみた。ここに挙げたもの以外にもいろいろあるので、これを参考に、実際には改めて直接確認して企業活動に活用して欲しい。
〈経済産業省〉
■生産性革命推進事業
サプライチェーンの毀損や今後の事業継続性確保などに対応するための設備投資や販路開拓、IT導入による効率化などに取り組む事業者を優先的に支援する。
◎ものづくり補助金(設備導入)
▽補助率=3分の2(従来は2分の1)
▽補助上限=1000万円
▽対象=中小企業など
▽問い合わせ先=ものづくり補助金事務局(050・8880・4053 土日祝日を除く10-17時)
◎小規模事業者持続化補助金(販路開拓など)
▽補助率=3分の2
▽補助上限=100万円(従来は50万円)
▽対象=小規模事業者など
▽問い合わせ先=①全国商工会連合会(03・6670・2540 土日祝日を除く9-12時、13-17時) ②日本商工会議所(03・6447・2389 土日祝日を除く9時半―12時、13-17時半)
◎IT導入補助金(IT導入)
▽補助率=3分の2(従来は2分の1)
▽補助上限=450万円
▽対象=中小企業・小規模事業者など
▽問い合わせ先=サービスデザイン推進協議会(0570・666・424 土日祝日を除く9時半―17時半)
◎持続化給付金
▽給付額=①法人200万円②個人事業者=100万円 但し、昨年1年間の売上からの減少分が上限
▽売上減少分の計算方法
前年の総売上(事業収入)-(前年同月比マイナス50%月の売上×12カ月)
※上記を基本としつつ、昨年創業した人などに合った対応も検討中
▽対象=新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している者、資本金10億円以上の大企業を除き、中堅企業、中小企業、小規模事業者、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人についても幅広く対象に含む
▽問い合わせ先=中小企業金融・給付金相談窓口(0570・783・183 平日・休日9―17時)
〈厚生労働省〉
◎雇用調整助成金
▽支給対象事業主=雇用保険適用事業所(但し、休業をしても休業手当を支払わなかった場合は対象外)
▽支給対象労働者=雇用保険被保険者、事業主と雇用関係にある週20時間未満の労働者(パート、アルバイトなど)
▽主な支給要件=最近1カ月の生産量、売上高などの生産指標が前年同期と比べて5%以上減少。休業などの延べ日数が対象労働者にかかる所定労働日数の40分の1(中小企業)、30分の1(大企業)以上
▽受給手続き=すでに休業を実施し、休業手当を支給している場合でも、6月30日までは事後に提出することが可能
▽問い合わせ先=最寄りの労働局またはハローワーク
〈日本政策金融公庫〉
◎新型コロナウイルス感染症特別貸付
▽融資限度額=①中小企業3億円②国民事業6000万円
▽貸付期間=設備20年以内、運転15年以内(うち据え置き期間5年以内)
▽金利=①中小企業1.11%→0.21%②国民事業1.36%→0.46% 当初3年間は基準金利マイナス0.9%だが、4年目以降は基準金利
▽利下げ限度額=①中小企業1億円②国民事業3000万円
▽対象=最近1カ月の売上高が前年または前々年の同期比で5%以上減少 業歴3カ月以上1年1カ月未満、店舗増加や業種の転換など単純に前年・前々年と比較できない場合は、最近1カ月の売上高が①過去3カ月の平均売上高②2,019年12月の売上高③19年10-12月の売上高平均額―のいずれかと比べて5%以上減少
▽問い合わせ先=①平日 日本公庫事業資金相談ダイヤル(0120・154・505)、沖縄公庫融資第二部中小企業融資第1班(098・941・1785)②土日終日 日本公庫(中小=0120・327・790、国民=0120・112・476)、沖縄公庫(098・941・1795)
〈商工中金〉
◎危機対応融資
▽融資限度額=3億円
▽貸付期間=設備20年以内、運転15年以内(うち据え置き期間5年以内)
▽金利=1.11%→0.21% 当初3年間は金純金利マイナス0.9%だが、4年目以降は基準金利
▽利下げ限度額=1億円
▽対象=最近1カ月の売上高が前年または前々年の同月比で5%以上減少 業歴3カ月以上1年1カ月未満、店舗増加や業種の転換など単純に前年・前々年と比較できない場合は、最近1カ月の売上高が①過去3カ月の平均売上高②2,019年12月の売上高③19年10-12月の売上高平均額―のいずれかと比べて5%以上減少
▽問い合わせ先=商工中金相談窓口(0120・542・711)
◎既往債務の借り換え
▽対象制度=日本政策金融公庫などの「新型コルナウイルス感染症特別貸付」「新型コロナウイルス対策マル経融資」「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」、商工中金などの「危機対応融資」
▽金利引き下げ、実質無利子化の限度額
日本公庫など=中小企業1億円、国民事業3000万円、商工中金=1億円
▽借り換え限度額
日本公庫など=中小企業3億円、国民事業6000万円、商工中金3億円
▽問い合わせ先=中小企業金融給付金相談窓口(0570・783・183 平日・休日9-17時)
これらを参考に、そのほかにも自治体や地方の金融機関などで独自に取り組まれているも
のもあるので、調べて該当するものがあれば、積極的に活用していくのも手だろう。