【目次】
端的に歯切れよく、結論から伝える
人に話すのが得手な人もいれば不得手な人もいるだろう。企業に勤めている間なら、たとえ不得手であっても、それを誰が他の人に肩代わりしてもらうことも可能だろうが、1人で起業するとそういうわけにもいかなくなる。たとえ営業しなくてもある程度顧客が向こうから来てくださる仕事であっても、最低限のコミュニケーションをとる必要はある。私も決して能弁な方ではないので、そんな人たちの悩みや苦労が良く分かるつもりだ。中には、そんな私を仲間の1人と思っていただけるのか、「どうすれば良いですか」「どんなことに気を付ければ良いですか」との相談を受けることがある。
そんな時、最低心掛けておいた方が良いと思う、「伝える」「聴く」「指示する」際のテクニックをいくつかお伝えするようにしている。ご参考にしていただけるかどうか分からないが、それらを少し紹介することにする。
まず、「伝える」際のテクニックだが、これは聴く立場に立って考えると分かりやすいと思うのだが、何といっても端的に、歯切れよく、結論から伝えることが第一だ。結論から伝えることの大切さは、よくどの本を読んでも書いてある通り。ああでもない、こうでもないといった説明が先にあると、それだけで聴くのが面倒になる。
業界用語の使い方に注意!
それに加えて、端的に歯切れよく話すことが重要だ。自信のなさはすぐに言葉に現れる。相手に自信のなさを感じ取られると、本来成立する契約もご破算になってしまう。だからといって自信のなさを隠すような演技をしても無駄だ。自信がつくように、普段から準備をしておくのが鉄則だ。
そして、注意したいのが「業界用語」の使い方だ。同じ業界内の人に話すのならそれを使うのも良いだろうが、顧客が業界用語に不慣れな場合もある。そんな時、こちらは普段使っている言葉で当然のことと話していても、相手にはさっぱり伝わらない。悪くすると「うまくはぐらかされた」「騙された」と感じることもよくあることだ。話す時は必ず相手に合わせた話し方を心掛けなければならない。
また、話のポイントをしっかり押さえておくことも必要だ。特に話す相手が交渉上手な人だったりした場合、相手の論法、論調に流されて、話のポイントをずらされて相手のペースに陥ってしまう場合があるが、こちらの伝えたい、伝えるべき本質を常に念頭に置いておくことが大切だ。
相手と顔を合わせて直接話すのでなく、メールや電話などのツールを使う場合は、それぞれのツールを、伝える内容の重要度、優先順位に合わせて使い分ける工夫もいる。
伝わるまで伝える
「伝えたことは伝わったことにあらず!」とはコミュニケーションのあり方を考える時の鉄則だ。要は「伝わるまで伝える」ことが求められる。自社の従業員などに対しても「また同じことを言っている」と思われるくらいでないと、なかなか話の主旨や意図は伝わらないものであることを覚悟しておいてちょうど良いぐらいだろう。
それでは逆に「聴く」際のテクニックにはどんなものがあるだろう。いうまでもなく、「伝える」ことと「聴く」ことがそろって、初めてコミュニケーションが成立する。「伝える」ことばかりに気をとられていては交渉事も前には進まない。
まず、話の相手の意見や特にクレームなどに対しては、慎重に、全力で、そして頭をニュートラルな状態にして聴くようにしたい。決して軽くあしらったり、面倒くさそうに聴いてはいけない。増してそのことが顔に現れるようだと、相手は以降、あなたに対して真実を語らなくなってしまう。
そして、聴いた意見に対してはすべて責任を持つことを伝えながら聴くようにしたい。「この人に言えば、結果はどうあれ、少なくとも何らかの行動をとってもらえる」と思ってもらえることが重要だ。
日頃から意見が言い合える雰囲気作りを
特に相手が何らかの意見やクレームをぶつけようとする時、そこにはマイナスの感情が伴ったりする。そうなると、なかなか難しいことではあるが、まずあなたが相手を尊重する姿勢を見せながら、その感情を和らげる必要がある。そして言葉の中にある本質を解決に向けてつかみに行かなければならない。
本来、話がこじれる前にコミュニケーションを常に取っておかねばならない。常に相手との間にピリピリしたムードや、逆になあなあ過ぎる雰囲気を作るのでなく、建設的なやり取りができるように関係を管理しておかねばならない。そして、日頃、自分から声掛けをして、問題などは事前に察知するように心掛けておくことが大切だ。
最後になったが、「指示する」際のテクニックについても一言言い添えておく。この指示する際の注意点は「伝える」際のものと重なるところが多いが、できるだけ文書にして確認できるようにしておくことをお勧めする。それは指示したことを忘れないようにするだけでなく、指示することが具体的で分かりやすくするためでもある。できれば、指示内容や指示内容の進捗状況が分かるフォーマット用紙などを独自に用意しておくといいだろう。そうすることで、指示する側の手落ちなども無くすことができる。