【目次】
言葉足らずの内容に注意
私の仕事上でのお付き合いのある人のことだが、ほとんどメールでしかやり取りのない人は多くいる。それで要件が済んでいればいいのだが、中にはそういうわけにはいかない人がいる。その場合ちょっと面倒なのだが、どうしてもアナログの付き合いでフォローしなければならなくなる。そのアナログによるフォローが必要な人とのメールのやり取りには、他の人にはない特徴がある。それさえクリアーしてもらえれば、わざわざアナログのフォローは必要なくなるのにと思う。メールのやり取りやSNSの使い方の何らかの参考になるかもしれないと思ったので、その話をしたい。
まず、メールの内容の結論が不明なことが多い。例えば、先日も仕事の日程の調整で、「〇日と〇日、それから〇日から〇日以外でお願いします」とあった。読んでいただければ分かると思うが、これだと先の2つの日は日程の候補に取り上げて良いのか悪いのか分からない。本人はもちろんそれできちんと伝えたつもりなのだろうが、言葉が足りていないのだ。この場合、いくら面倒でもやはり「調整の際除いて欲しいのは〇日と〇日、〇日から〇日です」とか、「日程として〇日と〇日か、もしくは〇日から〇日以外のその週内でお願いします」とはっきり伝える手間を惜しんではならない。
アナログのフォローも時には必要
それから、こちらの問い合わせなどに対する返事が遅いのも特徴だ。中にはすぐに返事がしづらいこともあるかもしれない。しかし、メールを出した方からすれば、そのメールが確かに相手に伝わっているのかどうか、相手がそのメールを読んだのかどうかが分からない時があるのは困る。「確かに受信しました」との一報をまず受け取ることで、メールを出した方も次の行動へ移ることができる。即答することができない場合は、「回答は明日まで待ってください」「〇日に回答致します」と返事をすれば良いのである。それをしないから、メールを出す側としては不安になり、場合によっては不信感につながってしまうのだ。
電話や会って話をする時間がなかったり、相手の都合を配慮してメールを使うのだから、わざわざメールを書いて、その上で電話をすることは考えられないかもしれない。しかし、別にメールの内容に不備等がない場合でも、メールでは伝わらない微妙なニュアンスなどは、やはり電話でフォローする必要は出てくる。無味乾燥なメールでの連絡に、心証を悪くするのはもったいない。メールの内容からは厳しい交渉になることを覚悟していたのに、会ってみるとそうでもなかった、などということは1回や2回ではない。仕事ができる人は相手の心情や状況に思いを巡らし、先回りして応えるものだ。メールでも同じことが言えるのではないだろうか。
「CC」にも配慮
メールでもう一つ気になるのは、「CC」がたくさん設定されているのを受け取った時である。「CC」自体が悪いわけではない。でも、「CC」が多いと、それだけいろいろな立場の多くの人にも読まれるわけだから、滅多なことは書けないと思う。1対1なら敬称や言葉遣いも相手の方にふさわしいものがすぐに思い浮かぶし、場合によっては砕けた言葉遣いで、むしろ親近感が沸くこともあるだろう。しかし、自分の知らない人にまで読まれていると思うと、細心の注意が求められるのは当然のことだろう。増して、仕事上でのやり取りとなると、「CC」で設定されているのは、上司や責任者である場合も多いだろう。
「CC」がなければ、相手の方とメールのやり取りを重ねるほどに、肩書なしで〇〇様だけでやり取りする方がむしろ互いの距離は縮まる。しかし、それで「CC」に名を連ねている方への配慮を忘れたために、商談がうまくいかなかったとなれば泣くに泣けない。不用意に自社の裏話や愚痴っぽい話をしてしたことが広まったり、他社の話をしてしまったら、それが回りまわって相手の会社の役員の方と深い関係を持っていたなんてこともあり得ない話ではない。逆に、「CC」が1人、2人程度なら、メールの本文にも全員のお名前を書いて、文末にはそれらの方々へのちょっとした挨拶も添えることができるし、そうした配慮は欠かせないとするべきだろう。
送付時の件名に工夫の余地
毎朝メールをチェックすることから仕事を始めるという人は多いだろう。私もその1人なのだが、それにしても、即削除したり無視するメールの何と多いことか、メールの多さに辟易しているのは私だけではないだろう。むしろ私でさえこんな状況なのだから、様々なプロジェクトに関わっている忙しいビジネスマンや経営者であれば、おそらく私が困っている比ではないに違いない。
だからメールを送付する際に気を付けているのは、できるだけ短く、かつ内容がある程度分かっていただけるような件名をつけることだ。件名を見ただけで用件が分からない送信者は、礼儀や常識はわきまえているつもりでも、大切な受信者の生産性を奪っているだけともいえる。例えば、件名に「お礼」や「緊急」などとしか書かれず、内容も「先日はありがとうございました」といった儀礼だけのものであったり、「緊急」でも何でもなかったりすることも多い。
たかがメールだが、されどメール。SNS全盛の時代、メールにおける気づきがそのまま、SNSにも生きてくる。十分に心したいと思っている。