危機感を持って臨む

これまで様々な企業の経営計画を見る機会を得てきた。業種も様々、企業の大小も様々。そんな中で、心打つものとそうでないものがある。心打つ計画というのはただ単に精緻に作られているといったこととは少し違う、どこかに危機感のようなものを感じる。逆に、これまで拝見したなかにはおざなりなものも多かった。仕方なくつくっている、ただ何となく慣例に従って次期の計画を提出したといったものだ。当たり前の話だが、心を打つ計画に対しては、一丸となってそれに向かおうという気になるし、おざなりな計画には部下も動こうとはしない。

それでは心打つ計画と、おざなりなものとの違いは何か。先ほども言ったように、そこに危機感が感じられるものとそうでないものの違いに尽きる。端的に言うと、危機感が感じられる計画は、それまでの取り組みに対する反省がきちんと行われていることが大前提になる。中途半端な反省からは中途半端な計画しか生まれないのは当たり前のことだろう。例えば、この商品・サービスが今期好調だったといっても、どのターゲットにどのくらい売れたのか、結果だけでなく、それはたまたまなのか、機会ロスはなかったのかまで振り返らなければ計画は立てられない。

次期は今期の延長ではない

そして、次期の計画に着手する前に以下のことの振り返りも行わなければならない。それは、競合与件はどのように変化したのか、顧客はどのように変化をしたのか、市場全体の変化はどうか、売る方の状況の変化はあるのか、取引先との交渉はどのように進んでいるのか、次期の新商品・新サービスの売り上げ見込みはどうかなどだ。これらの振り返りも、単に今期の延長に次期が来ると考えていては仕方がない。常にゼロベースから白紙に戻して見直さなければ、計画を立てる意味もなくなる。

この時の心構えとして挙げられるのは「先憂後楽」だ。ここで多いのは逆の「先楽後憂」だ。計画を立てるものが、後の憂いを考えずして、これまでの推移から都合の良いように推し量り「こんなもんだろう」として考えなければ、計画そのものが成り立たないし、計画を立てるリーダーとしての役割が果たされない。リーダーが先に楽をすれば、後になって大きな苦労や苦悩が待ち受けることになることを覚悟しなければならない。皆さんのところではそうなっていないか十分に気をつけてもらいたいものだ。

大局観を持って次期に臨む

また次期の行動計画を立てる時に、全体の進むべき方向性や方針がないままに計画に着手していないだろうか。大局観がないままに、今起きている現象にモグラ叩きのように場当たり的に対応するだけなら、いくら対応してもそれは何の役にも立たない。それに関わる従業員を疲れさせるだけなら、しない方がまだましなこともある。次期の計画を立てるようなリーダーなら、このような方向性に進路を取ると明確化し、次期は何を、どこまで、誰が、いつ実行するのかを決定する必要がある。

その計画を立案する以前の話にも言及すれば、そもそも計画を立てる者が自分をリーダーと思っていないことさえある。「〇〇だったら」「〇〇であれば」のように、「たら」「れば」を連発するような発想では何も解決しない。富士山に登ろうと思えば、「富士山に登れ!」という号令をかけるだけなら誰にでもできるが、それでは誰一人として富士山に登ることはできない。リーダーなら、〇月〇日〇時、どこに集合、誰と誰が装備を持ち、ルートはこうである等々、具体的に指示しなければならない。当然その際には部下のレベルも考えるべきだろう。

自己改革を続けるのがリーダー

そしてリーダーとしてさらに大切なことは、次期の計画を本当に自分の問題として捉えているかどうかだ。どこか他人事になってはいないだろうか。計画を立て、それを言葉で伝えるのは簡単だ。それを行為、行動まで反省して変えることは、今期の自分自身を否定しなければできない。今期の行動は間違いだった、ここに問題があったと次期に向けて自分自身を変えない限り、周囲の状況も変わらない。次期に向けてみんなに動いてもらうための第一歩は、まず自分自身を脱皮させることが求められる。

蛇は脱皮を繰り返しながら成長を続けるという。私は蛇が脱皮しているところを見たことはないが、脱皮する際、あの蛇が痛くて(?)泣くのだという。しかし、そうして脱皮できなければ成長はできない。よくリーダー自ら、「何とかなる」といって部下を鼓舞することがあるが、私はむしろ、リーダーにとっては「何とかなるは何ともならない」という方が正解だと思う。常に苦しみ続けるのがリーダーの使命だ。今期を反省することは自分のやってきたことを否定することと肝に銘じ、自己改革、自己革新をし続けていってもらいたい。

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