「人手不足」でも諦めない

人手不足の時代と言われながら、なかなか社内の人材を活用できずにいる会社は多いようだ。むやみに採用に力を入れても、採用そのものやそれに伴う教育にかかる人件費などを考えれば、相当な出費になるのは間違いない。それでも採用ができる内は良いが、中には採用すらままならず、「人手不足は時代の流れだから」と半ば諦めている経営者がいるのは残念だ。諦めているだけでは、逆に社内の人材までもが外に逃げて行ってしまう。やはりまず社内の人材を活かすのが筋だろう。

社内の女性の活用もまだまだ課題の一つだ。とはいっても、いまだに「女性は言われたことだけをやっていれば良い」と主張する男性の中堅社員がいたり、女性は女性で、「社内の効率化なんて男性がやることでしょう」といった雰囲気が漂っていてはなかなか改革一つ進めることはできない。ここで、女性の戦力化に取り組んだ実際の企業の例を少し紹介してみる。ちなみに、「女性の戦力化」と言ったが、この企業では女性の戦力化を通じて、結局は企業全体の効率化・活性化につながっている。

週間日程表などで「見える化」

この企業の女性グループが行わなければならない業務は、①製品の検査、②長期性能検査、③データの集計、④機器分析試験、⑤依頼検査、⑥課長からの特命事項…と多岐に渡っていた。そこで、まず行ったのは、誰が何をできるかを正確に把握するために、個人別の業務習得マップを作成し、それを基に業務分担を決めた。その際、各業務に「正」と「副」を決めて、何が起きても支障をきたさないような体制を採った。そのために、これまで一つの業務しかできていなかった人には、最低2つの業務ができるように教育していった。

こうしていよいよ活動を開始したのだが、グループの経験やスキルにはバラツキがあるため、日常業務に遅れの出る人が出てきた。そこで何とか仕事の平準化を図るために導入したのが、「個人別製品検査処理表」と「週間日程表」だった。しかし、当初は「いちいちそのような表に書き入れるのは面倒」「忙しい時に余計なことをやっているとさらに仕事が遅れる」といった意見が出て、なかなか実際に活かそうという雰囲気にならなかったそうだ。

マルチタスク化も進展

そこで、①仕事を個人での業務処理からグループでの処理にする、②業務の計画性の向上、③作業の流れの中で効率化の追求、④問題点の洗い出しーといった点を狙いにして、どんなことがあっても責任を個人に転嫁せず、グループとして考えることをお互いに確認して再試行することになった。

その結果、①仕事量、内容が目に見えるため、仕事の平準化が手早く行えるようになった、②「知らないことは勉強しよう」をモットーに、応援体制をとりながらマルチスキル化が進むようになった、③グループの業務予定表を立てることができるようになったーといった成果が出てきた。そして、その過程で改善を施した件数が40件ほどにもなり、グループの人員体制も1名減らすことができたという。

この時のポイントは、仕事についてマニュアルを作成するようにし、問題点はすぐに出すようにしたので、規定の見直しや改善につながったことだ。当初、週間日程表の作成については、「余分な仕事が増える」と消極的だったのが、一端理解するとコミュニケーションも良くなり、仕事がより早くなっていった。振り返って見て、女性特有の粘り強さが成功に結び付いたようにも思われる。

仕事への意識を高める

今、女性のグループだけを取り上げたが、この企業の場合、普段からコスト低減に向けた活動は全社的に活発に行っていた。一般には「コスト削減」を叫ぶと、「人減らし」「労働強化」につながりかねないということでついそれに取り組む社員たちの腰が引けることがある。確かにそうなっている企業も多いのが実態かもしれないが、この企業のすばらしかったところは、仕事の無駄を省き、必要な人材を必要とされる作業につかせることで、より高いレベルの仕事へ挑戦できることを社員全員がよく理解していたことだった。

同じ仕事を長年していると、ついその仕事が属人化してしまい、自分は毎日忙しく一生懸命に仕事をしているつもりでも、中には無駄な仕事も意識することなく行っていることがある。それは手待ちの時間であったり、仕組みを整えることで省けるような仕事のことだ。中には他の係の人と同じ仕事をダブって行っているというような例さえ出てくる。そんな「どうでも良い仕事」を止めて、生産性の上がる仕事に集中することで、仕事そのものに対する意識も高まる。

先ほどの女性グループの仕事の見直しの中でも、これまで何となく行っていた周囲の男性社員のお茶出しを止めたということがあった。これには当該男性社員たちからクレームが入ったそうだが、社長が間に入ってお互いに話し合いを行い、「自分のことは自分でする」ことに落ち着いたそうだ。今では当たり前のことにも思えるが、それを機会に男女の社員間のコミュニケーションも活発になったという。

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