違和感の残る話し方をしていないか

先日、楽しみにしていた講演会に行ってきたが、今一つ心に響かなかったことが残念だった。それは私が思っていた内容と少し異なっていたこともあったが、何か準備万端に進行させている、とってつけたような印象が強かったのだ。後で振り返って、自分の聞き方が悪かったのか、何が原因だったのだろうと考えた。それで気が付いたことが一つあった。それは講演者が発する言葉と、言葉以外のボディーランゲージが一致していなかったということだ。言葉とボディーランゲージが異なる時、それを聞いている方としては間違いなく、ボディーランゲージに反応するものだ。

講演者は恐らく最も強調したいところでも、飄々としてまるで文章を読み上げるような感じで話を進めていた。それは多分、大分練習を積んだのだろうなと感じさせるほどの滑らかさだった。しかし、残念ながら滑らかに言葉を発すれば発するほど、何か言葉だけが上滑りをしているような感じがするのを避けることができなかった。かといってそこで不自然な動作を加えてみても、やはりそこにはわざとらしさや違和感が残ったりしていたかもしれない。逆に講演者の意図が変に伝わると、最悪の場合は聞いている方としては嘘っぽさのような印象が残ったりするものだ。

非言語メッセージが対応できていない

この時の講演会には多分1000人以上の人が来場していたのではないだろうか。それほどでなくても、私たちも大勢の人を前にしてプレゼンテーションなどを行う機会はある。その時でもよくあることだが、聞き手からの意見に同意したり、反論したり、解説したりする場合、言葉より先に動作がまず現れる。例えば、力強くうなずく、首を振る、手を前に突き出すといったような動作は、どんな言葉より早くその人の気持ちを雄弁に表す。だから、その動作がなかったり、あるいは動作が言葉に遅れて出てくるようでは、聞き手は何となくその不自然さに気を取られ、どこかその話全体が作られた、嘘っぽいように感じてしまう。

話し手は話す内容を聞き手にうまく伝えようとするなら、前もって話す内容を準備しなければならないが、それ以外にもっとすべき大事なことがある。
コミュニケーション・コーチングを提供するパブリック・ワーズを設立したニック・モーガン氏は、その著書の中でプレゼンなどに臨む際、聞き手の欲求を満足させるための4つの行動として、①聞き手に心を開く、②聞き手と心を通い合わせる、③話し手は熱意を持って語る、④聞き手のメッセージに耳を傾ける、ことだと挙げる。こうした感覚がつかめるようになればボディーランゲージも自然に身に着き、言葉と非言語メッセージをタイミングよく聞き手に訴えることができるというのだ。

まず自信が持てる内容のものを準備すること

まず①聞き手に心を開くためにしなければならないこととは何か。話し手は多数の人を前にした時、得てして自分を守ろうとする。それは聞き手を脅威に思うからである。何故聞き手を脅威に思うかといえば、自分がこれから話すことに賛成・反対を問わず聞き手が必ずしも納得しないかもしれないと思うからだ。何故そう思うかといえば、自分に自信がないから。だから、自信を持って話すには、話しの内容など事前の準備をしっかり行うことが欠かせない。自信が持てれば肩の力も抜けて聴衆を味方につけて話すことができる。

②聞き手と心を通い合わせるには、プレゼンなどに当たって気持ちを聞き手に集中せねばならない。語り掛けたり、質問したりして、聴衆の関心を最後まで自分に引き付けておくのだ。

③話し手が熱意を持って語るためには、話し手がこれから言おうとしていることではなく、何故それを言おうとしているのか、どのように感じているのかを意識しなければならない。その思いを一語一句に込めて話すのだ。この時、話し手は、聞き手の中にキーパーソンを置いて、全身全霊を込めて彼(彼女)を説得するつもりで話すのが良いだろう。例えば、自分の恋人を説得するような感じで。

リーダーは話し上手であれ

④聞き手のメッセージに耳を傾けるには、予め話す内容を完全に自分のものにしておかねばならない。それは聞き手のメッセージを受け取り、話し手の話し方を途中で改善するのにも役に立つ。聞き手の反応を読み取って、話すスピードを変えたり、一部を変更したり、場合によっては割愛する方が良いこともあるだろう。そして、聞き手に質問したり、一緒にワークを体験してもらうことも良いかもしれない。

こうして①から④までのことを通じて、話し手のことを信用してもらうのである。「信用できる」ことは、コミュニケーションにおける最も重要な資質だ。それがなければ、そもそもコミュニケーションは成り立たない。

今は人前での話し方について述べてみたが、これは社内の普段の会話であっても同じことだ。リーダーが上手な話し手であれば、部下たちは仕事に専心し、それぞれに十二分な働きを見せてくれるに違いない。

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