【目次】
踏み出す一歩が未来を創る
「とにかく一歩ずつでも前に向かって歩くこと。これが起業を成功させる秘訣」と語るのは大阪市内でダンススタジオを経営するMさんだ。「実績が自分を作っていく。実績が重なれば重なるほど自信につながる」とも。Mさんは20数年前に「ダンスで生きていく」ことを決心して無我夢中で挑戦し続けてきた。
「始めはとにかくチャンスをつかむのに必死でした」と振り返る。彼女は一歩踏み出すことで自らの人生を変えてきた。確かに自分が興味を持ったこと、やってみようかなとは思うことはあっても、そこで一歩を踏み出さない人は多い。踏み出すことに勇気がいるからだ。特に自分がまだやったことのないことを始める時は尚更だ。起業などはその最たるものだろう。
最初は誰でも戸惑う。失敗もする。しかし、その失敗が次への糧になったりもする。起業すればそんなことはしょっちゅう起きる。しかし、「何事も行動をするから未来も変わる」。だからとにかく行動が大切になる。Mさんはそれを「一歩踏み出すことで、その先に見える風景が変わってくる」と話す。
Mさんはもともとダンスが好きで始めたのだが、それでも好きだからといってすぐに仕事になったわけじゃない。今でこそダンスという職業が確立されているが、「そもそも始めたころはダンスの仕事自体、ほとんどなかった」。
最善を尽くすことでチャンスもつかめる
しかし、仕事がない中でも、アンテナを張り続けることで何らかのチャンスが集まってくる。そうして集まったチャンスの中には、自分に自信がなくても挑戦しなければならないことだって出てくる。決してチャンスは自分がそれに向けて完全に用意できている状態の中で来るわけじゃない。Mさんだってそうだった。「今のレベルでは絶対に受からないという中でオーデションを受けることもあった」。
それでも、「その時にとれる行動を一生懸命にすることで、偶然も重なってチャンスをうまく捉えることができた」。その後も順調に来れたわけじゃなく、その都度何か新しことに挑戦しなければならない状態が続いた。「それはチャンスとしてでなく、何か『問題が発生する』といった形をとって来たりした」。その問題を、歩みを止める理由として捉えるのか、また新しいことに挑戦するチャンスとして捉えるのかの違いが、その後を左右する。
肝心なのは、いつも前に踏み出すことを「癖」にすることだ。がむしゃらに頑張っていることが結果を伴うことになる。その後、Mさんはダンスである程度生計を立てられるようになったが、その次は「スタジオ経営」という形で新しい試練が待つようになった。
今では順調に来たかのようにふるまってもいるが、Mさんは「当時は死活問題だった」と振り返る。そういうことを外部の人たちには一切その欠片も見せずに、ここでも自分のできることをひたすら追求してきた。「そうしたら道がどんどん拓けてきたんです」。
チャンスは「問題」という形で来る
Sさんは神戸市内で創業支援コーディネーターをしている。が、当初からそれを目指していたわけではない。始めは自宅近くの雑貨店でアルバイトとして商品を売っていたのが、その雑貨店が経営不振となった時にそれを肩代わりし、その後も人からの要望に対応していたら「少しずつ手掛ける仕事が広がっていった」という。そうしているうちに、今の仕事が自然と確立していった。
今では創業コーディネーターと言いながらも、地元ではシニア向けのお見合いパーティーの主催者までしている。しかもそれは無料奉仕だ。Sさんにしても自信があって商売を広げてきたわけではなく、「分からないところを人に尋ねながら、手探りでここまで来るのに7年かかった」と振り返る。
MさんもSさんも、問題に当たった時に、意識するしないに関わらず、それをそのまま問題として受け取らず、チャンスとして前向きに受け取っているところが似ている。だから、粘り強く頑張れるのだろう。Sさんは今も「自分がどういう学びを深めていけば、自分やクライアントにとってベストなのかということを考えている」という。そうすると、またそのことがどんどん新しい出会いを生むことにつながるのだ。
実績がない人なんていない
自分に実績がないために、一歩踏み出すことをためらっている人も多いと思う。しかし、実績がないと思いがちでも、それぞれ人は自分にしかない試練を乗り越えて今を生きている。その試練一つ一つが自分のスキルになっている。そう考えれば、自分に実績がない人などいないことになる。
自分が何のために生きて、どういうことをしたら人の役に立てて、嬉しいと感じる瞬間があるかを考えると、自分の使命、とるべき行動が見えてくる。始めは必ず勇気のいる一歩になるはずだが、それを小さな一歩でいいから踏み出す勇気を持つことが大切だ。それを積み重ねることで、生きている世界が変わるのだ。
一歩を踏み出しきれない人もたくさんいる中で、それをすることだけでも意義がある。そうした仲間が増えれば、社会も変わる。社会が変われば、また自分に新たなチャンスも巡ってくるかもしれないし、何より活気のある社会に生きることは楽しい。是非そのための勇気を持ちませんか。