相手の立場に立つ

起業して間もない時、どうしても自分一人では営業活動ひとつとっても限界があるなと感じた時に思い浮かぶのが、他の企業とのコラボレーションだ。このコラボレーション、日本語に訳すと「協力」、「協同」、「援助」といったところか。しかし、これが自分にとって都合が良いだけで、相手のメリットを全く考えていないということが往々にして起きる。聞いてみると、ご本人は全くそんな風には考えておらず、意外といった感じに受け取られることも多い。相手はすでに自分と組まなくてもうまくやっているのに、何故わざわざ自分と組む必要があるのか。やはりここは、相手の立場に立って考えることが大切だ。

早い話、いかに相手の本業の売り上げに寄与するかを考えなければならない。その上で、そうした相手にアプローチをするなら、そのために要するリスク、コストはすべて自分が引き受けるぐらいの覚悟を持つのだ。例えば、チラシを配ってもらうのであれば、チラシの作成はすべて自分ですること。セミナーの会場を借りたり、集客に協力をしてもらえるのであれば、講師料は無料ですること。コラボなんて、提案される方にとっては基本的に面倒なもの。それをわざわざ提案するからには提案する方がリードする必要がある。そんなことは当たり前と思われるかもしれないが、それが自分のこととなると案外人は自分に都合良く考えるものだ。

もたれ合わない

それと基本的に自立していないもの同士がコラボをしても、うまく行くはずがない。例えば、WEB制作会社と経営コンサルタントの実際にあった例だが、どちらも起業して日が浅く集客に悩んでいた。そこでその2人が手を組み、一緒にセミナーを開催して集客をしようとした。ところが、互いに相手の集客力を頼りにするばかりで、結局その合同セミナーも大した集客には結びつかなかった。互いに同じ問題を抱えているもの同士が組んでも、うまくいくはずがない。それをするなら、十分な集客力のある相手を選び、その集客力以外で困っている相手の問題を自分が解決してやるのだ。

また、あるベンチャー企業が似たようなベンチャー同士を集めて、互いの悩みを相談する会を発足したが、しばらくして自然消滅した。この会に限らず、○○会などを作って複数の企業が互いに助け合う仕組みがあったりするが、それも基本的には同じことだ。皆が何かを当てにするだけでは、そこからは何も生まれない。メンバーそれぞれが何か一つでも強みを持っていて、それをコラボする相手に提供するという姿勢でないと相乗効果は生まれない。××と組んだから大丈夫、△△のグループに入ったから何とかなるだろうといった考えでは、どうにもならないということだ。

目的ごとに様々な形

具体的にどんな組み合わせが良いのか、思いつくままに考えてみた。

まず合同セミナーを開催する場合、一方が見込客のリストを持っているのなら、そのもう一方はそのリストを活かせるような目玉講師であるべきだ。そうすれば、リストを提供する側にも、その目玉講師を目当てに集まった客に対して宣伝をすることができる。もちろん、目玉講師として組んだ側にとっても、その個別サービスを宣伝することができる。例えば、税理士による相続税対策と霊園の販売業者とのコラボなどだ。
次に、これも合同セミナーを開催する場合だが、それぞれの個別サービスを組み合わせて、パッケージとして売り出すケースがある。例えば、同じ経営コンサルタントでも、組織風土に強いコンサルタントと販路開拓に強いコンサルタントといった感じだ。

さらに、セミナーは単独でするにしても、見込客リストを持っている業者と組んで集客をお願いして、そこで成立となった顧客に、見込客リストを持っている業者のサービスをつないだり、紹介手数料といった形で金銭を支払うという手もある。
見込客リストといっても、その内容は当面そこでの営業が見込めない顧客だったりするわけで、そうした場合、リストを持っている相手にとっても何らかの突破口が開かれるという意味でコラボの持つ意味はあるのだ。

開かれた心で

コラボを組む者同士、欲しいものは同じではない。目的が異なるため、どういったコラボの形を目指すのかも、それぞれによって異なってくる。どの形が正しいとか正しくないとか、そんなことはまったくなく、目的に応じて選択する必要がある。お互いの目的が何なのか、何を得たいのかは、提案する側だけでなく、提案される側も早目に開示しておけば、その後長い取り引きの関係につながることもあろう。そもそもコラボにリスクやコストは付きものだし、異なるビジネスを営む相手と調整をする中で、100%自社の言い分が通ることもないだろう。

最後に、コラボは相手のやり方を目にする良い機会にもなる。どういうことを考え、コラボに乗ってくるのか、そのプロセスなどは「社外秘」に属することもあるかもしれない。そうしたことを参考にし合うことができれば、凝り固まっていた自分の考え方などを見直すきっかけにもなるだろう。開かれた心で付き合うことが大切だ。狙い通りに結果がついてくれば、こんなに面白いものもないかもしれない。

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