共感を得る大切さ

私の周囲には「士」業やコンサルタントの先生方がたくさんおられる。顧客から「先生」と呼ばれる方たちだ。しかし、その実態は「先生」と呼ばれて悠々自適に仕事をしておられるのはそのごく一部でしかなく、大半は汲汲としておられる厳しい世界だ。これまでなら、高給の代名詞でもあった弁護士の先生方でも、昨今はまだほんの一部だろうが、意外な低所得の先生方もおられることが伝えられているところだ。

こうした先生方はそれぞれ顧客に求められる高い技能を備える必要があるのはもちろんだが、その前に共通して必要なのは顧客との間に信頼関係が築けているかということだろう。つまり、顧客に提供する技能が高いのは当たり前のことであり、仮にも顧客が求める水準に達しないようなことがあればそれは問題外だ。それに加えて、その先生方から顧客がサービスを受け取りたいと思うかどうかが肝心なところだ。

同じサービスを受けるのなら、「誰からそのサービスを受けるか」が問われる。だから、厳しい世界なのだ。私はよくこうした先生方が講演を行う場に参加するが、参加者がその先生方に「どの程度本気で共感できているか」で、良い講演だったかどうかが決まる。それは例えば1対1で行う契約のクロージングの場でも同じことが問われる。先生方はいかに顧客に共感してもらえるかを追求しなければならない。

共感には見本が必要

その共感に必要なものは何か。それは、私は顧客に「見本を示す」ことだと思う。つまり、顧客に相対している自分が、今、その顧客の見本になっているかどうかだ。それはまったく簡単なことでない。普段、顧客にそれぞれのサービスを提供するに当たって、様々な見地からサジェスチョンをしている身にとって、その見本になることは、生き方そのものが問われることでもある。

その見本になるために、具体的に何が必要になるかを思いつくままに考えてみよう。

まず、どんな困難な状況に置かれても、それをプラスに解釈することのできる力を備えていることだ。困難な状況をそのまま苦痛と捉えていては道は拓けない。逆に「問題を解決するためのチャンス」として捉えることで先も見えてくる。

次にモチベーションの管理だ。モチベーションは始めは高くても、放っておくと下がってくるものだ。仮に現状が自分が立てていた目標に近づいたことでモチベーションが下がっているのなら、すぐに次の新たな目標を設定しなければならない。
そこまで行かなくても、私の場合、毎朝その日一日を「最高の自分」を演じるつもりで、心に決めている「行動のための5か条」を反芻してみることにしている。それは、1.仕事はスピード第一、2.量をこなす、3.相手の立場に立つ、4.仕事は破壊と創造、5.周囲に感謝を忘れない、といった感じだ。

4割を打って「まだまだです」と言える評価軸を持つ

それから、自己責任。問題が起きたとき、たとえそれが部下の失敗であったとしても、その部下に慣れない仕事を任せたことに問題はなかったか、部下に仕事を任せる時の任せ方はそれで良かったのかなどを考え、最終的な責任は自分にあると捉えることが肝心だろう。そして、その解決は他人に任せるのでなく、自分が責任を持って解決に当たらなければならない。

自分なりの評価軸を持っていることも大切だ。イチローは4割を打って、「まだまだです」と言った。他人から見て、仮に十分な実績を上げてように見えても、自分の評価基準からはそれを「まだまだ」と判断している。こうした自分自身に厳しい目を持ち続けることが求められる。

そして、他人に対する支援。他人は評価する対象では決してない。支援する対象として見なければならない。よく「あの顧客はあの提案時に判断できないからダメなんだ」とか言って、自分の提案に対して顧客が乗らなかったことに対する批判をしていることがあるが、とんでもないことだ。それは自分の未熟さを顧客に転嫁しているのに過ぎない。

振りをすることから始める

こうして何とか顧客の見本になるように努めることができれば、それはいわば「言行一致」の状態になったということになる。そうなって初めて顧客との間に信頼関係が生まれると考えている。信頼関係がなければ、「先生」にはなり得ない。先生方が顧客に行うサービスの提供は、そうした上に立って初めて可能になるものだ。

ここで考えてきたように、その一つ一つは決して特別なものでも、突飛なものでもない。それらは小さなことの積み重ねでしかない。ただ、その小さなことが、大きな差になって現れるのだから、恐ろしい。ついてしまった大きな差ばかり見て一度にやろうとするとしんどくなる。

私は始め、問題の捉え方を変えることから取り組んでいった。何か問題が起きるたびに、「これはチャンス!」と心の中で叫ぶようにした。正直に言うと、最初は「でも何がチャンスなんだろう」と半信半疑だった。でもそのうちに本当にそれがチャンスに見えてくるのだ。

だから、ここに述べたことは、単なる理想だと思われるかもしれないが、私はそれらの「振りをする」ところから始めるのも良いのではないかと思う。それを続けていると、それは「振り」ではなく、いつかは身に着いたものになってくる。それで良いのだと思っている。

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