【目次】
卑屈になるな
3月の本決算、9月の中間決算を前に何とか決算数字を上げたいと思うのは、何も一般企業だけではない。銀行だってもちろんそうだ。銀行は言うまでもなく、融資をしてその利ザヤで稼いでいる。だからこの両月は銀行員もそれなりに営業に力を入れる。一般企業にとって融資を拡大するチャンスでもある。
何故か銀行に融資を申し込む時に、態度が卑屈になってしまう経営者が多い。私も以前はそうだった。が、付き合うほどにそれではいけないと考えるようになった。態度が卑屈になるのは、どこかでお金を借りることが悪いことのように考えているからではないか。そんなことはまったくない!
無借金経営より手元資金の確保
そもそも無借金経営が良いことのように考える風があるが、企業によって最も大切なことは何か。それは事業を継続していくことにあるはずだ。そのためには借金がないことが必要なのではなく、手元に事業を回していけるだけの資金がいつでもあるということが必要なのだ。それがないために黒字倒産ということだってある。
そのためには、銀行に対しても普段からの取引、関係づくりが大切になってくる。いきなり、資金が必要になったからといって、普段から取引がなければすぐに銀行は貸してはくれない。見も知らない人にお金を貸せないのと同じ理屈だ。だから、銀行とも普段から信頼関係を築いておくことが必要なのだ。
担当者に丸投げではダメ
銀行が苦手な経営者ほど、その銀行対策をまったくしていなかったり、担当者に丸投げしていたりする。しかし、本来は取引先と同じように銀行との関係づくりを行っておかねばならない。要は銀行を自社のために利用・活用することだ。銀行員はこちらの詳しいことは何も分かっていない。自信を持って堂々と接すればいい。
そのためには、経営者はまず自社の決算内容をきっちり把握しておかねばならない。そしてどの程度の借り入れ余力があるのかを知っておかねばならない。銀行員が知りたいのはそうした基本情報と、そのうえで経営者がどんな人物かとか将来の事業の方向性だ。だから、そうしたことを予め頭に入れて対応すれば恐れるに足りずだ。
普段からの準備を怠りなく
企業は勢いがあるうちはいい。「色の白いは七難隠す」というが、まさにその通り。勢いのあるうちは、多少資金繰りに難があっても、右肩上がりの売り上げに隠れてその勢いで問題は解決される。が、そんな時ばかりではない。その勢いが止まった時、逆に右方下がりの時代になった時には、手の打ちようもなくなってしまう。
銀行との信頼関係を築くということは、決して銀行の言いなりになるということではない。銀行には銀行の都合がある。その都合に振り回されていては、それこそ企業経営は成り立たない。こちら側の言い分を銀行に認めさせるくらいの意気込みで、普段からの準備を怠ってはいけない。