評判はブランドの確立と同義

レピュテーションマネジメント(reputation management)という言葉がある。企業の評判向上のための戦略的な取り組みのことで、評判とはステークホルダーが企業に対して抱く評価であり、ステークホルダーの間で共有され、広く社会に流通する。この意味で、好評判の獲得は、ブランドの確立と同義である。

米国ではヨーロッパ発のものを含めて10以上の有力なレビューサイトがあり、多くの消費者が製品やサービスを購入する際の参考にしているといわれている。通常、サイトでの評価は最低の1から最高の5までの星の数、または学校の成績のようにAからFで表示される。

評価が低いと悪影響

こうしたサイトを見かけるようになったのは1990年代の中頃からで、多くは消費者がその段階評価のほか、コメントを書き込めるようになっている。中には評価を見て、4を下回るものは一切買わないと決めている人も多いようだ。

しかし、何らかの報酬を受け取って偽のコメントを書いたりすることが問題になり、会員制にしているものや、主宰者の評価だけを載せているものもある。ほとんどのサイトの閲覧は無料だが、有料会員だけがおすすめの商品(サービス)や買ってはいけない商品(サービス)リストを見られるようにしているところもある。コメントは記名のものも無記名のものもある。

あらゆるものが評価の対象に

レビューの対象は本や食品、衣類、家庭用品、ソフトウエアだけでなく、転職を考えている人や投資家のために、実際に中で働いている従業員の立場から企業を評価するサイトもある。また、旅に的を絞ったサイトには、宿泊先のレビューのほかに、旅行者が撮った写真や格安航空料金、旅行ガイドなど、あらゆる情報が掲載されている。

ネット上の評判は非常に重要だ。あらゆる消費者が批評家のようでもあり、ある調査によれば10人中9人までもがオンラインレビューを読んでいるとされている。そして、その9割近くが、オンラインで否定的なレビューを読んだら、そこからは買わないとしているそうだ。否定的なレビューがビジネスに与える影響はとても大きい。

コミュニケーションの役割がますます大きく

だから各社はレピュテーションマネジメントに真剣に取り組むが、不正に操作されたレビューは消費者からの信頼を著しく損なう可能性がある。レビューと引き換えに割引を提供するという疑問の余地のある慣行も存在するが、そのリスクは計り知れないくらいに大きい。

企業は専門のマネジメント会社と契約して、データ分析ツールを用いてレビューを探したり対応したりしている。しかし、それでも日頃からの消費者とのコミュニケーションの果たす役割は大きい。日本でも大企業だけでなく、中小企業においても今後広報の果たす役割がますます大きくなると見られる由縁だ。

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