【目次】
講師次第で当たりはずれ
各地で開かれるセミナーに参加していると、当然のことながらその講師によって当たりはずれが出てくる。
もちろんセミナーは聞き手のニーズがうまくマッチした時に満足度が高くなるので、当たりはずれというのは一概に講師のせいばかりでもないと思っている。だから、ここでお話しするのは、それを前提としての話しであることを最初にお断りしておく。
問題だと思うことの一つは、集客したいばかりに、セミナーのタイトルと内容が異なっていることがあることだ。これなどは論外と言うべきだが、何故か時々ある。
二つ目は限られた時間に内容を詰め込むためか、講師が早口になって一方的に話しまくるものだ。
そして三つ目は専門家の集まる場でもないのにやたら専門用語(業界用語)が目立つものも困る。
間の取り方次第で話が生きる
講師がよほど有名な、例えば俳優やプロのスポーツマンだった方であれば、むしろ聞き手の方から理解しようというオーラがはじめから出ている。
しかし、そうでない場合は、話し手から聞き手の関心を誘うように話すのが基本ではないか。上手く話す講師に出くわすと、聞き手もニーズ以上のものが心に残り、大満足という結果になる。
思わず聞き手が聞き入ってしまうような話が出来る人は、話の間の取り方がとても上手なことに気が付く。上手な話し手は聞き手の反応を見ながら適切な間を置き、注意をひきつけるためにわざと沈黙をつくり、最後には結論めいたことや話のオチを言って感動を高めるということが自然体でできている。
期待させる間
話の内容が盛り上がり、聞いている人が、次はどうなんだと、気になっているタイミングで一呼吸置く。これにより、さらに続きを気になってしまうため、聞き手の心がぐっと引き寄せられる。いわゆる「焦らしの効果」だ。
その点、落語家の間の取り方などはとても勉強になる。余談だが、私は下手なテクニックを駆使するより、もっと落語を聞いて勉強すべきだと思っている。
また、相手がまだ理解していないのに話をどんどん進める人がいる。学校の先生などを思い出すといいかもしれない。難解なことを言った時には、特にこの間を使って相手が理解するまで待ってあげることが大切だ。聞き手が置いていかれることは意外と多いため、相手は理解しているか見極めるのも話上手な人の特徴と言える。
奥行きをつくる間
そして、話のオチがついたあと、あえて少し時間を置くことがある。そうすると、その時間で聞き手は色々なことを想像してくれる。それによって話が心に染みわたり、話全体の印象が味わい深い奥行きのあるものになるのだ。人をだます時に使われては困るが、好きな人相手には是非使ってみたい手法だ。
「話に間をあけなさい」というのは、話し方の本を読むとよく書いてあるテーマのひとつだ。だが不必要なタイミングで間を置くと、却って「間が悪い」ということになりかねない。
要は聞き手の反応を良く見ることだ。逆に自信がない人ほど早口になってしまうのも良く分かる。一度ご自身の話すのをレコーダーに撮って聞いてみてはどうだろう。