【目次】
情報洪水の時代
「テレビCMを見たから」、「有名だから」といった理由で買われていた時代もあった。でも今はテレビのCMはきっかけにはなっても、実際の購入の決め手にまでは至らない。
「実際使ってみてどうなの?」といった話を友人から聞いたり、ネットで評判を調べて、良い点も悪い点も納得した上でないと、なかなか購入しない。それができる時代でもある。
現代ほど個人が情報の発信力を持った時代はないと言われる。それを可能にしたのがインターネットであったり、SNSであったりするのだが、同時にそれは情報の洪水を引き起こし、何を信用してよいのか、分からない状態を引き起こしている。それは商品やサービスを提供している企業に対しても同様だ。
伝え方が大切
だからスーパーの野菜を見ても、生産農家の個人名を記入することが増えている。「○○県産のかぼちゃ」ではなく、「○○さんが作ったかぼちゃ」を世の中は求めるようになっている。
レストランや本屋でもそうだ。「お店がおススメの○○」ではなく、「バイトのトシちゃんおススメの○○」の方が心にグッとくるのだ。
情報があふれる時代だからこそ、人々はその中から本当に信用できそうなものを取捨選択しようとする。個人名を出すことで責任の在りかが明確になり、「それなら大丈夫かな」となるのだ。
このように信用力を得るためには、伝え方が大切になる。ただ小手先の技術に囚われるとかえって逆効果だ。人々は上っ面だけのことかどうか敏感に嗅ぎ分ける。
心はこもっているか
例えば、デートをしようとするとき、相手の女性に「デートしてください」といきなり申し込むのはどうだろう。場合によりけりだが、初対面に近い場合だと、成功の確率は低いことが予想できる。
それより、「驚くほどおいしいパスタの店を知ってるけど、一緒にいかない?」と言った方がまだ好印象を持たれそうだ。
でもそれも本当に心がこもっていての話だ。口先だけの言葉など、誰が何を言っても信用できるはずがない。そこにテクニックを駆使しても、かえってそれはマイナスの効果しか生まない。
伝えたい相手のことを本当に思っているかどうか、自分の想いを押し付けているだけではないのかを冷静に見極めなければならない。
伝達力を見直そう
それにしても、自分のことしか見えていない人の多いことが気がかりだ。それはメールひとつとっても分かる。送られたメールに対して受け取ったことを返信しない。自分の送ったメールが確かに相手に届いていることを確認していない。そんな基本的なことができない人に、相手の気持ちを察した伝え方ができるとは思えない。
自分の主張しかできないのであれば、それはこれまでのテレビCMと同じだ。
それは他の情報に紛れて、言いっぱなしに終わるだけ。
せっかく個人が情報発信できる力を持った今の時代。それにふさわしい伝達力を養う必要があるように思う。そうでなければ、宝の持ち腐れに終わるだけだ。