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仕事がうまくいく人は男性ホルモンが多い
男性ホルモンの代表ともされるテストステロン。その多寡が仕事にも影響すると言われればどう感じるだろうか。順天堂大学大学院の堀江重郎教授は、「『仕事がうまくいっている』と自ら言える男性は、ほぼテストステロンが高いと言っていい」とビジネス雑誌に語っている。
一般的に男性ホルモンというと、体毛や筋肉などの見た目の男性らしさに通じるもので、年齢とともに分泌量は減るというのが定説だ。しかし、最近の研究で、男性ホルモンの分泌量は必ずしも年齢に比例するものではないことが分かってきたという。
加齢で減少する傾向は見られても、個人差が大きく、70代でも20代、30代の平均を超える男性ホルモンを分泌する人がいることが分かってきた。
自己主張、決断が分泌を促す
そのテストステロンは心と体に深く関わっているようだ。「仕事がうまくいっている」人は「日頃から自分を主張する、決断を下す、組織を引っ張る場面が多いことが、テストステロンの分泌を促すのではないか」と堀江教授は見ている。
つまり、テストステロンの分泌はその人の置かれた社会的な環境に大きく関わるというわけだ。
「(テストステロンの分泌を促すために)趣味の集まりでもいい。スナックなどの行きつけの場でもいいので、週に1日でも自分が認められ、主張できる時間を持つことが大切」と堀江教授。
「筋肉を動かしたり、異性と関わったりすることも刺激となるので、ゴルフや社交ダンスなどもいい」とアドバイスをする。
家族や仲間との食事も大切に
自分のテストステロンの値が気になる人は、泌尿器科などで計測できる。計測の結果、テストステロンが減少していると分かった場合は、注射などで補充する方法もあるようだ。
しかし堀江教授は、安易な補充は体内でホルモンを分泌する機能を弱める可能性もあり、控えた方が良いと言う。
自らの分泌機能を保つためには、前述のように自分を主張する場を確保する、生活習慣を見直すなどの心掛けも重要だ。「トロロや玉ねぎエキスなど、いくつかの食品がテストステロンを増やすという報告があるが、その場合も1人で食べるのではなく、家族や仲間など集団で食べることの方が大切」と話す。
組織の在り方も問題
日本には定年制度があり、世代交代、新陳代謝を進めるためには「人は年を重ねたら枯れるもの」という共通認識があった。だから男性ホルモンも年を取れば減って当然と受け止められてきた。
しかし現在は、定年延長や年金制度の見直しなど、60代、70代になっても働き続けることが求められている。
まだまだ役職定年制度を取り入れる企業も多いが、いたずらに中高年世代のやる気を削いでいないか、見直す必要はあるのではないだろうか。
中高年世代もこれまでの常識などに囚われる必要はない。ちなみに、テストステロンの影響は男性だけに限らない。「女性でも50代、60代に元気な女性はテストステロンが作用している可能性が高い」と言う。