【目次】
秘密情報は何か
「秘密情報なんて自分たちには関係ない」と思っている経営者の方は要注意です。技術情報、営業情報、顧客情報はもちろん、日頃何気なく使う人事や財務の情報や市場分析情報なども立派な情報資産になる。
これら情報資産の中には、例えば取引価格や顧客情報、技術的なノウハウなど、秘密にしておくことで、他社との差別化ができるものがある。
これら秘密にしておくべき情報は一度漏洩してしまうと、資産としての価値が失われるばかりでなく、企業経営にも致命的な打撃を及ぼしかねない。ところが、その情報の漏洩を見聞きすることが増えている。
まずは一度何が大切な情報かを社内で見直し、秘密として保持すべきものを明らかにすることすることから始めよう。
漏洩対策は5つ
情報に合わせて漏洩に対して考えられる対策は5つある。
まず一つ目は、秘密情報にアクセスできる人を最小限にとどめることだ。退職者に対しては、速やかにアクセス権を削除しなければならない。
取引先から図面や金型、工程サンプル、工場の内部などを見せるよう要請があっても秘密情報は開示できないことをきちんと伝えることが大切だ。
二つ目は情報の持ち出しを困難にすることだ。例えば、私物のUSBメモリの社内使用を禁止することで、秘密情報の社外への持ち出しを難しくできる。
また、電子データについては暗号化することも効果的だ。万が一漏洩しても、解読しにくくなる。
環境の整備も大切
三つ目は、漏洩が見つかりやすい環境を作ること。
秘密情報を扱う場所のレイアウトを工夫したり、防犯カメラを設置するなどの対策をすることだ。防犯カメラの設置は、従業員の正当性を証明するのにも役立つ。パソコンなどの情報システムのログのチェックなども必要だ。
四つ目は、どれが秘密情報なのか、ひと目で分かるように表示すること。
マル秘文書にははっきりマル秘マークの印鑑でも押しておかないと、故意でなくても取り扱いを誤る可能性がある。入社時やプロジェクト参加時など、適切なタイミングで秘密情報保持契約の締結を行うことも重要だ。
徴候を見逃さない
そして最後の五つ目は、従業員のモチベーションを高めることだ。
これは一般には業績の向上の実現に言われることだが、漏洩対策にも効果的だ。漏洩をしようという気持ちにさせないために、ワークライフバランスや社内でのコミュニケーション、従業員の能力の多面的な評価など、気を付けなければならない点は多々ある。
それでも万が一、情報が漏洩してしまった場合のことを、日頃から考え用意しておかねばならない。近年のサイバー攻撃などは手口が高度化しているため、漏洩を完全に防ぐことは難しくなっている。
しかし、漏洩には徴候がある場合がある。それらの徴候を見逃さず適切な対応を取ることで、周囲からの信頼も高まるのだ。