【目次】
事業戦略は顧客にとっての魅力度
1つの事業を行う際にどのように競合他社に勝つのかを考えるのが「事業戦略」だ。
1つの事業が成熟したり、そこで得たノウハウを別の事業に活かそうとしたり、あるいは複数の事業をどのようにマネジメントするかを考えるのは「企業戦略」になる。以下、少し理屈っぽくなるが、どうかお付き合い願えればと思う。
事業戦略は顧客の立場に立って考えれば、「顧客にとっての魅力度」ということになる。その顧客にとっての魅力度は、「商品(サービス)の価値/商品(サービス)の価格」という式で表される。
だから、事業戦略とは、商品(サービス)の価値を高める「価値戦略」と、商品(サービス)の価格を下げる「コスト戦略」に分かれる。
価値戦略とコスト戦略
これら戦略を決める際に行わなければならないのが、ターゲット顧客の選定だ。顧客を誰にするかで、大体どの企業も極端な価値戦略とコスト戦略の間のどこかの戦略を選んでいるものだ。
価値戦略にはいろいろなやり方があるが、機能を上げたり、ブランド価値を上げたりするのが一般的だ。機能を上げるには様々な技術革新が必要になる。開発投資がいるわけだが、いかに顧客の要望に添えるかが鍵を握る。
ブランド価値においては、広告宣伝だけでなく、その商品(サービス)の提供の仕方など、対象とする顧客によって極めて多彩な方法が考えられる。
仕組みとしての低価格化
コスト戦略は、「違うことをするか、同じことを違うようにやって構造的なコスト優位を構築したうえで、その分のコストの差を低価格につなげる」(「戦略の原点」(清水勝彦著))戦略だ。
そのためには、商品の絞り込み、標準化、規模の利益でコストを削減、顧客にとって価値の低い機能を減らすことによるコストの削減などの方法がある。
スーパーが卵や牛乳の特売をして顧客を呼び込むようなやり方をイメージする人が多いが、それを仕組みとして作ったものでないとこれをコスト戦略とは呼べない。ただ単に自分の利益を削っているだけでは事業として成立しないからだ。おまけに他のスーパーにも簡単にまねをされてしまうだけに終わる。
修正を繰り返す
何にしても施策は良い面ばかりではない。競争は常にダイナミックに変わる。今日価値競争力、コスト競争力があるからといって、その競争力が未来永劫に続くわけでもない。
だからどんな企業でも、時間軸を持って事業展開することが大切になる。まして体力に限界のある創業間もない企業ともなればなおさらだ。
一つの商品(サービス)にこだわるにしても、顧客の声をいかに反映させて修正を繰り返すかが大切だ。場合によっては思い切った見直しを必要とするかもしれない。
事業を始める時、あくまでその商品(サービス)も出発点にあるのであって、最終形ではないことを意識し続けなればならないのだ。