【目次】
飛ぶ鳥を落とす勢いのエヌビディア
世界中の自動車メーカーが自動運転で頼る米国のエヌビディアは1993年に創業。
画像処理技術を活かしてAI(人工知能)用の半導体で台頭。2017年1月期の売上高は69億1000万ドル(約7900億円)と、まさに今や飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
なぜそこまでAI時代の寵児になりつつあるのか。その一つのカギは広報をうまく活用したことにあると考えている。
当初ディープラーニングと人の視覚に匹敵する画像認識の能力がテクノロジーとして台頭しつつあることを発見したエヌビディア創設者兼CEOのジェンスン・フアン氏は、経済誌の取材に「様々な事業部門からエンジニアをかき集めて(車の自動運転に対して)大々的なチームを作りました。そして数か月ごとに世界の多くのメーカーに対して、どのように進捗しているのかを発表し続けました」と語っている。
進捗状況を発表し続ける
私が注目しているのは、この進捗状況を発表し続けたというところだ。
これが、「技術開発の開始から数年たった頃、自動車メーカーや物流企業など多くの企業が『エヌビディアは本当にこの問題に真剣に取り組んでいる会社だ』と納得してくれたのです」という結果につながったのだと理解している。
「この間、我々はとてつもなく大きな投資をし続けました」と語っている通り、結果が出るまでは、それこそ苦しい期間があっただろうと推察するのだが、それを支えたのは何だったのか。
この事業に対する信念か、仲間への信頼か、家族の愛か。どれか一つでなく様々なことが支えになったのだろう。
フィードバックから得る
しかし、やろうとしていること、その進捗状況を発表し続けたことで、それを見たり聞いたりした人たちからの何らかのフィードバックがあり、それが成功を導いてくれたのも間違いない。
事業を立ち上げようとするとき、起業したときに周囲からの協力は不可欠だが、それができていない、どうしていいか分からないでいる人が多いように思う。
あるいは、やったけどだめだったという人も多いに違いない。それが新しいことであればあるほど、自分がやろうとしていることをストレートに伝えても反応がなかったり、どこか反応がすれ違っていたりするのは当たり前ぐらいに思った方が良い。それを修正しながら、また周囲の反応を確かめ続けることが必要なのだと思う。
広報でビジネスモデルを進化
よくあるのが、DMやチラシ、ポスターなどを配っても、当初考えていたほどには反応がないというものだ。
配る対象が悪かったのか、配り方が悪かったのか、販促媒体そのものに問題があったのか、そもそもビジネスモデルに問題があったのか、原因はいろいろ考えられるだろうが、それを返ってきた反応の中から一つ一つ見直していくのである。
販促媒体や広報そのものは、何も売り上げの拡大だけを目標にするのではない。
もちろん、それが売り上げにつながればそれに越したことはないが、自分のビジネスモデルを進化させるために利用しなければならない。
新規事業や起業は決して白黒つける博打のようなものではあってはならない。あきらめないで欲しいと思っている。