【目次】
ビジネスは粘土細工
サラリーマンを辞めてビジネスを始めてみると、なかなか当初絵に描いたようにはうまくいかないことに直面する。
それなりにビジネスモデルを考えたつもりでも、粘土細工のように修正を繰り返しながら形を造っていく。
なかなかスマートに事業を軌道に乗せることなどできれば格好はいいが、そうはいかないことの方が多い。
昨年のリオ五輪の女子重量挙げで大逆転から銅メダルを獲得した三宅宏実選手も、「怪我や失敗から学んで精神力を強くさせてもらった」と振り返っている。
「大事なのは失敗から何を学ぶか。自分が何を読み取って、どう選択して、どこに向かうかです」と話す。
失敗の種類
人生いろいろな失敗を重ねるのだが、「失敗にも良い失敗と悪い失敗がある」としているのはポジティブサイコロジースクールの久世浩司代表。
特に組織における失敗を①予防できる失敗、②避けられない失敗、③知的な失敗、の3種類に分ける。
「予防できる失敗」とは不注意や不勉強でいたことが原因の失敗。
所定のプロセスや慣行に従わなかったために起きた失敗もこれに含まれる。
1件の重大事故が起きるまでには、29件のかすり傷程度の事故と300件のヒヤっとした「ニアミス」があるという「ハインリッヒの法則」は、これを防ぐ良い取り組みになる。
一見予防できるようでも、業務プロセスに問題があったり、タスクそのものが難しすぎる場合は「避けられない失敗」に入る。この場合、自分の責任を過剰に考える必要はない。
割り切ることも大切だ。
知的な失敗を成功につなげる
歓迎すべき「知的な失敗」は、実験的なプロジェクトが失敗に終わることなどがそれに当たる。
取り組み始めた事業がうまくいかないのもこの類だと思えば、いささか気分も楽になるかもしれない。
成功と失敗を二律背反的に捉えている人がたくさんいるが、「失敗の反対が成功ではない」と久世代表は言う。
「失敗とは学習すること」で、「最大の教訓は最もつらい敗北から生まれる」。
だから「失敗は天からの恵みである」と言い切っているハーバード・ビジネス・レビュー(2011年7月号)を紹介している。
「小さくテストし、知的な失敗を繰り返し、そこから大きく学ぶことを成長の軸にしている」P&Gの取り組みが良い例だ。
諦めるには早すぎる
「これを乗り越えた先に何かが絶対待っている。乗り越えないとその先はないと思ってと挑戦していく。すると、次の課題がまた目の前に現れる。人生はその連続じゃないかと思います」と先の三宅選手は語る。
彼女も30歳で迎えたリオ五輪の重みを受け止めながら、2020年に向けてまだまだトライするという。
そんな話を聞いていると、多少の失敗で挫けそうになる自分を省みていろんな意味でまだまだだなと感じる。
今では失敗をしても、それがどういう種類の失敗か冷静になって考えてみることが必要だろうと思う。
そうすれば、失敗に対する対策も打てる。まだまだ諦めるには早すぎる。