【目次】
「2期4年」は短かすぎる
例年のごとく株主総会も終わり、経営陣の顔ぶれが変わった会社も多いだろう。
「社長の経営任期は何年が適切か」ということが古くから話題にされる。
会社によっては2期4年といった不文律があったりする。
経営論にも一種のはやりすたりがあり、例えばバブル期ごろまでは、「社長の任期が長すぎのはよくない」というのがおそらく主流だったように記憶する。
かつてはその理由として、一人のトップが長らく君臨すると組織が停滞し、場合によっては腐敗の元凶にもなるということまで言われたりした。
さて、今の時代はどうなのか。
「スピード経営」の意味するもの
結論から言うと、「長い方が良い」というのが大方の意見なのではないか。
社長として事を興すに当たって、志を立て、それを企てに落とし込み、周囲の人たちを巻き込み、それなりの形を作り上げ、成り行きを見て、要所に手を入れて、最終的な実りを得るまでに4年なんてあっという間に過ぎてしまう。
そんな話しをしていると、「スピード経営」の重要性を掲げる人たちからは笑われるかもしれない。
しかし、「管理」を行うのにスピードは必要であっても、「経営」は本当にスピードでするものか。
今は10年単位の長期計画を聞くことが寡聞にして少ないが、それくらい先を読んだ経営をしないと、これからの企業の成長は望めないと思っている。
長期政権を支える仕組み作りを
最も、ただ単に長くすれば良いというわけでもないだろう。
社長交代の理由に挙げられる筆頭は「若返り」だと感じているが、降板時点の社長の年齢と比べれば若返りにはなっていても、その社長の就任時点の年齢と比べればそうなっていないことがほとんどだ。
やはり若いうちから選抜を行い、経験の幅を持たせることが必要である。
退任する社長も完全に退くわけではなく、会長や相談役に就くことが多いのも日本的な慣行だが、これも後任社長が思い切った改革に取り組めないことが目に見えている。
新任の社長が就任と同時に全力で経営に取り組めるように、準備期間は事前に設けるべきだ。
一方、社長の在任期間を延ばして権限を強化するのに対して、その権限の暴走を食い止めるための統治体制作りも課題だろう。
中小は長期経営を活かすべき
中小企業の場合、それが創業社長ならなおさら当然のことのように、長期政権であることが多い。
ただ、この場合は自らの権力維持に固執しているだけではないかどうかを、振り返って見る必要がありそうだ。
要は10年単位の長期ビジョンが描けているのか、同時に変革を実現する強い意志と軌道修正を厭わない柔軟な思考を持ち合わせているかが大切ではないか。
変化の激しい時代、そんな長期を見据えた経営はできるはずがないと思われるかもしれないが、日本で安倍政権が誕生する前まで、激動の世界の中にあって日本の首相が短期間で次々に代わった。
私は今、その結果がどうだったかを振り返って見ている。