営業せずに四国一の清掃会社に

営業も広告宣伝も一切せずに四国一の清掃会社へと成長した会社がある。
その会社は最近ではビル清掃の比率が半分ぐらいに減っていて、代わりに施設管理、警備業務などを手掛けている。

社長は「掃除でお客様との信頼関係が深まって、こちらか営業はせずともおたくにやってほしいと頼まれ、気が付いたらここまで業容が拡大していた」と振り返る。

社長は若い頃に飛び込み営業をやって随分しんどい思いをしたという。
社員に同じ思いをさせたくない、何とか飛び込み営業をせずに会社を伸ばす方法はないかと模索し、その結果、クレーム対応に力を入れることにつながった。

「一つひとつのクレームに誠心誠意対応すると本当にお客様に喜ばれて、売り上げがどんどん伸びていったのです」と社長。

真面目な人がミスをする

まず社員に「いつでもどんなことでも構わんから」と強制的に電話をかけさせていたそうだが、徐々に体制が整ってくるとクレームもどんどん上がってくるようになった。

しかし、当初はクレームを報告しても上司に怒られたり、会社に対応する能力もなかったので、隠蔽される傾向もあった。

そこで、すべての職場を回ってクレームの報告をお願いするようにしたところ、今では年間250件のクレームのうち、95%以上が自己申告によるものになっている。

その内容は作業中の器物の落下や破損が多いという。

しかし、「人が良くて頑張って急いでやるので物を落としたりするんです。つまり真面目に仕事をする人しかミスをしない」ということに気づいたそうだ。

すべてのクレームは社長の責任

よかれと思って壁をゴシゴシ擦って塗装が取れてしまったりするのは、会社の教育不足が原因。
ダラダラ作業する社員が仮にいたとしても、その人を採用したのは会社の責任。

だから「すべてのクレームは社長の責任。あなたたちが弁償する必要はない。会社が絶対に守るから」と社員には説明をするそうだ。

新人研修でクレームを起こした社員は、会社がすぐにフォローに来てくれるし、お客様からも「この子は一生懸命やってくれてるから絶対に叱らないで」と気遣ってくれるしで、感動して泣き出したりしたこともあったという。

もう「下手な研修を実施するより、クレームを起こしてくれた方がよっぽど勉強になるんです」と笑う。

宣伝よりもっと大切なものがある

この会社が16年間で受けたクレームは3700件に上るが、何とかすべて乗り越えてきた。

「クレームをいただいた時、どう動くか。やはり誠心誠意対応することで、逆に仕事が増えている。クレームは本当に宝の山です」と感慨を寄せる。

「クレームを隠さずにきちんと対応したら、営業しなくてもお客様との信頼関係が深まり、売り上げが伸びる」とはよく言われることだが、まさにそれを地で行っている。
逆に、いくら営業を強化してもクレームに対応できていなければ、ざるに水を灌ぐようなものかも知れない。

皆さんはどう考えますか?

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