【目次】
これからのキーワード「ワクワク感」と「貢献」
米国のビル・クリントン大統領時代に副大統領を務めたアル・ゴア氏。
ブッシュ氏と大統領選挙を争った後は一貫して地球環境問題に取り組み、ノーベル平和賞も受賞した。
そのアル・ゴア氏のスピーチライターを務めたダニエル・ピンク氏は、会社と社員を取り巻く今の時代を「モチベーション3.0」と表現している。
「モチベーション1.0」は「忠誠心」の時代。「モチベーション2.0」は「単純な成果主義の時代」と定義し、それらに基づく評価は人の創造性は破壊すると話している。
それに対して「モチベーション3.0」とは簡単に言うと「絆の時代」を表し、自発的な動機によって人は動くという考え方だ。キーワードは「ワクワク感」と「貢献」。
会社と社員は対等
そのモチベーションを上手に使っている例として、アップルやグーグルを挙げている。
自分たちのアイデアやイノベーションが「世界を変える」という信念を一人ひとりの社員が強烈に持ち、そのこと自体でワクワク感が一杯なわけだ。これで生産性が上がらないはずがない。
「3.0」の時代では会社と社員との関係は対等だと考えられている。
だから、会社や組織に魅力がなければ、社員の心は簡単に離れていく。
「ここにいたら世の中に貢献できる」「この人といたら大きく成長できる」。
そんな風に皆さんの会社は創り上げられているでしょうか。
日本に独特な慣習
「松下電器は人をつくる会社です。あわせて電気製品をつくっています」。
これは松下幸之助氏の余りにも有名な言葉だ。ご存知の方も多いと思う。
私もこの言葉を聞いた時、心の底から感動を覚えた。
そして、松下氏の下で働くことのできた方々は、どれだけ幸せだったろうかと思いを馳せたものだ。
ところが、日本で今話題になっている言葉は「忖度」。
森友問題ですっかり注目を集めてしまったが、豊洲市場や東芝の問題を読み解くキーワードでもある。
忖度、つまり、他人の心を推し量ることと辞書にはある。上司や周りの意向をおもんばかって、先回りをして行動する部下こそが評価される。
視野を広く持つのが大切
海外の人たちが理解に苦しむであろうその日本独特の慣習は、日本の強みでもあり弱みでもある。
今回、森友を始めとするいずれの問題もそれが度を越えたところが組織を暴走させたように思われる。
そろそろその行動原理自体を、「忖度」から「ワクワク感」重視へと変えてもいいのではないか。
そのためには、松下幸之助氏のような経営者を待つだけでなく、私たち一人ひとりが自ら行動することが大切だ。
まず自分の周囲の仕事を楽しめる環境を整えてみることから始めてはどうだろうか。
今より視野をほんの少し広く持って、本来の仕事に対する取り組み方を考え直してみるのもいいように思う。