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WMGってご存知ですか
宣伝のようで恐縮ですが、ワールドマスターズゲームズ(WMG)が2021年に関西で開催されることをご存知でしょうか。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開,催翌年に、近畿2府4県と岡山、鳥取、徳島の各県で、32競技・55種目が争われる。
国内外から5万人の参加者を目標にしている国際的なスポーツイベントです。
4年に一度、オリンピックの翌年に開催されており、原則30歳以上のスポーツ愛好家ならだれでも参加できる。
アジアでの開催は初めて。
2019年に開催される「ラグビーワールドカップ」、2020年の東京オリンピック、パラリンピックと合わせて、3年もの間続けて我が国で国際的な大会が催されることに、ビジネスチャンスの面でも期待は高まっている。
スポーツ産業は約3倍に
実際に、政府が昨年に発表した「日本再興戦略2016」の中でも、スポーツの産業の成長について、その市場規模を今の5.5兆円から2025年までに15兆円に拡大することを目指している。
そのための議論はまだ東京オリンピック・パラリンピックに隠れてはいるがすでに始まっている。
関西経済同友会の主導で立ち上げた「スポーツコミッション関西」では、スポーツを核にした産業の活性化やニュービジネスの創出を目指す「スポーツ+(プラス)」を提唱している。
スポーツ用品や製薬、医療関係のメーカーが多い大阪を中心にして、健康産業やヘルスケア産業をこの地域に集積するきっかけにできると考えているのだ。
関連産業のすそ野は広く
また、特にWMGでは、参加者がスポーツを通した交流を楽しむとともに観光や文化体験なども同様に重視する「スポーツツーリズム」の側面も持つ。
過去のWMGの実績では国外からの参加者の平均滞在日数が約16日に及ぶことから、観光面においても大きな経済効果がもたらされると期待される。
先ほどのスポーツコミッション関西でも、関西でのWMGについて、選手も含めて15万人が訪れ、宿泊や飲食などの経済効果は140億円にもなるという試算も出している。
スタジアムなど街の整備などももちろん重要なレガシーになるのだろうが、こうした関連産業の育成も大事なレガシーとして考えられているところだ。
いかに波及効果を取り込めるか
もちろん、それだけではない。
WMGの組織委員会では、大会を一過性のものとせず、「生涯スポーツの振興」を最終の目的として取り組みを進めている。
高齢社会が進展する我が国において、健康寿命をいかに伸ばすかが社会的な課題とされるなか、この大会への参加を契機にスポーツ人口の拡大やスポーツ活動の習慣化・日常化を目指している。
国際交流の深化、開催地の文化・伝統・産業の世界への情報発信の面でも効果が期待されている。
思い通りに進むか懐疑的な見方はいくらでもできようが、少なくともこれまでにないチャンスとして、それをいかにそれぞれの企業で取り込んでいくかである。
前例のない広域での大会運営が成功すれば、頭の固い地方の役人にも得るところは大きいはずだ。