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ラーメン店は儲けすぎなのか
チェーン展開しているラーメン店の場合、公表している数字をそのまま使わせてもらうと材料費が173円のものを800円で販売(原価率22%)しており、大盛況な様子だ。
一見したところ、儲けすぎではと思うのだが、よく考えると原価率の中には水道光熱費や人件費が含まれていない。
テレビ番組などで紹介されるラーメン店で多いのは、味の良し悪しを左右するスープを店主が深夜に何時間もかけて煮込んでいる姿だ。
こうした場合、特に人件費を製造原価に入れると、原価率はどうなるのか。
つまり、材料費だけで判断するのは意味がないということになる。
業種ごとに重視すべき指標は異なる
あるテレビ映像コンテンツ制作会社は、企業の短期的な支払い能力を示す流動比率が500%もあった。一般的には200%もあれば優良企業とされるが、流動資産のうち売掛債権が6割を占めるという。
このため、運営資金の工面にいつも汲々としていた。
そこで売掛債権の回収を早めるために、テレビ局との契約内容を変更するという考えが生まれた。
しかし、契約内容を厳格化すると、テレビ局がこの制作会社を使う利便性が失われてしまう。
ではどうするか。
この制作会社の場合、結局、金融機関からの借り入れを増やし、手持ちの資金に余裕を持たせるようにした。流動比率は悪化したが、それによって業績は上向いたという。
価格を半額にして増収増益
固定費が中心の業界であるゲームセンターの場合、最も重視すべき経営指標は設備稼働率になる。
あるゲームセンター店が、設備稼働率を調査したところ10%であることが分かった。
試験的に価格を半額にしたところ稼働率は目標より多い35%になったことから、それから数年間、半額価格の政策を続けて増収増益を達成していた。
しかし、ある時このビジネスモデルが根底から覆ることが起こった。
それまで店がゲーム機械を買い取っていたのだが、機械はメーカーが無料で提供することになり、代わりに店側が1プレイ当たりの使用料をメーカーに支払うことになった。
つまり、企業努力で下げることができない変動費が突然発生することになり、これまでの価格優位性が無くなったのだ。
価格に頼るな
このゲームセンター店は、結局価格を元に戻さざるを得なくなった。
もともと、設備稼働率を上げるために価格を引き下げたのだが、周辺の競合他店ではこの間、サービスの品質向上やその他の差別化策に着々と取り組んでいた。
これらの策をほとんど施してこなかったこの店はそれから数年後に倒産してしまった。
ここから分かるのは、価格に頼ると環境の変化に対応しにくいということ。価格でなく、価値で戦うビジネスを目指さなければならない。
環境の変化や栄枯盛衰はつきもので、たまたまうまくいくこともあるだろうが、人生をかけた大事なビジネスを「たまたま」に左右されてはいけないのだ。
自社に大切な経営指標は何かを考え、価格でなく価値で勝負する仕事をしていきましょう。