きっかけ

当今は企業経営にとってIT化と言っても当たり前過ぎる話しだろうが、ITにつきまとうコスト、知識、メンテナンスといった要因で、特に中小企業にとっては導入の判断を慎重にさせているのも事実だ。

そんな中、先日ある中小企業のITシステムの導入例を聞いた。


大阪にある従業員数が8人のプラスチック製品の製造企業。
設立は2004年で、当初は営業力がなかったうえに顧客も少なく、特に2008年のリーマンショック直後はあるのは時間だけという惨憺たる状態だった。

そこに入ってきたのが「何気ない仕事の依頼」だった。
どこからも断られた末に持ってこられた、ダメでもともとといった感じの依頼だった。
それだけ無理難題な依頼だったわけだが、社長は「それでも精一杯のことをしよう」とその依頼を引き受けた。

気づき

それが、たまたまスピード解決につながり、その結果に満足した顧客は、また別の相談を寄せてきた。
それも同様に解決することができたのだが、この一連のやり取りの中で、社長はふとあることに気づいたと言う。

 
「自社が持っている技術を、これまで持て余していたのではないか」。


それまで、顧客に言われたことしかしてこなかった同社が、以降、自分たちの技術の活かし方を考えるようになったと言う。そして、それを実現するために、ITシステムの導入が図られるようになった。

社是が気づきを与えた

もともとこの会社がどうして最初、その仕事の依頼を引き受けることができたのか。

確かに時間があったからということもあるだろうが、時間があっても断ることもできたはず。

それは、「期待以上の品質で感動を与える」という社是があったからにほかならない。

「モノづくりの会社ではあるが、自分たちに関わるすべてのことに幸せを届けたい」という姿勢が、困っていた顧客に「精一杯のことをしよう」と思わせたのだろう。

それからは、スピード、提案力をキーワードにして集客力を磨くようになり、ホームページも刷新。
そこで不良率を開示したことも、「リアリティがあって安心につながった」との好評を得ている。


増える引き合い、進むIT活用

それからは仕事の引き合いも増え、それに対応した体制を整備するため権限移譲を行い、社員間で全ての情報を共有するようになった。
情報共有のために従業員全てが自分のパソコンを持ち、スケジュール表には全員が自分の予定を書き入れ、一人ひとりが考えて顧客の要望に向き合うようになった。


技術者は技術を自分のだけのものに囲い込みがちだが、同社ではそれはないと言う。

情報を開示することについても、得てして中味で勝てれば、外見はどうでもいいと考えがちだが、「顧客の視線はまた異なる」と話す。今はIT活用の模範例を行く同社に、たとえ技術力の差は埋められても、仕事に対する思いの差は埋められないものだと感じさせられた。

株式会社 大阪エルシーセンター CUBE電話代行サービスグループ
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