【目次】
【日進月歩のロボット技術】
ロボットの進化が目覚ましい。
私が就職をした1980年代は、自動車メーカーが組み立てラインで使い始めたロボットを見て、まるでSFの世界を見ているように感じたものだが、今ではそれは目新しいものではなくなっている。
そんな私から見ると(同世代に共通した見方だろうと思っているのだが)、ロボットといえば自動車のような組み立てラインで使う機械を連想しがちだ。
しかし、そのロボットが、今後は頭脳も柔軟性も順応性も進化したものに取って代わられようとしている。
まさに現代の職場の様相が一変しつつある。
【期待と不安】
勢い、ロボットに対して過度な期待や不安も生まれてくる。
例えば、「ロボットはAI(人工知能)につなげば勝手に動いてしゃべる」「お手伝いロボットが家事全般をこなす」「単純労働はロボットに置き換えられ失業を招く」云々といった具合だ。
期待通りにはなかなか進まないテレビの3D、ドローン、VR(バーチャルリアリティー)などの技術と並べながら、「ロボットもこれからどう進化していくのかなかなか読み切れない」と話すのは「ロボットクリエ―ター」を名乗るロボガレージの髙橋智隆社長だ。
髙橋社長はパナソニック乾電池の長寿命性能を実証するため、「エボルタ」という名前のロボットを開発したことなどで知られる。
アメリカのグランドキャニオンの絶壁に張られたロープを登らせたCMをご記憶の方も多いだろう。
【ロボット開発者の見た目】
「誰かが新しい使い方を提案するような商品を一つ出すだけで、ロボットの未来も全く変わる」と見る髙橋社長のモノづくりに対する見方は面白い。
しかし、「そのモノづくりが海外へ逃げてしまって日本でのイノベーションが失われている」と嘆く髙橋社長。「今や日本ではできなくでも、中国ではできる製品はいくらでもある」。
髙橋社長の言うモノづくりとは単なる量産化ではない。それは「作り手にノウハウが蓄積し、新発明が降臨するものだ」。だから、どんなに忙しい毎日でも髙橋社長の手元には、今もはんだごてがある。
そして「手を動かすことで新しいアイデアがまた生まれてくる。迷ったらユニークな選択肢を選ぶ」。
要は「遊び心のある創造性が大切」と見ている。
【仕事に創造性を】
ジャーナリズムの分野でも死亡記事、スポーツ記事、天気予報といった実際の記事を書けるロボットの開発に関心が高まっている。
要は型にはまった仕事はロボットで代行できるということだ。
逆に言うと、記者独自の視点による内容を打ち出すような記事は、ロボットには無理だということだ。それはどんな仕事だって同じだろう。
半数近い就労者がロボットやコンピューターに取って代わられる恐れがあるとも言われているが、記者の場合と同じく、人間には人間にしかできない付加価値をつけていかねばならない。単純労働はロボットに置き換わると言われるが、仕事を単純にするのはその業種ではない。それぞれの仕事に創意工夫があるかないかなのだと思う。
結局「創造性」が求められるのはロボットの開発側だけでなく、ロボットに置き換わられる危険のある私たち自身についても同様ということだ。