働き方改革で話し合われていること

政府が取り組みを本格化させている「働き方改革」が注目を集めています。


労働政策と経済政策の両面から政府の取り組みが本格化しているのです。
労働政策面からいうと大きな要因として挙げられるのが、労働力不足の深刻化です。日本の生産年齢(15~64歳)人口が、総人口の減少を上回る速度で減少し、今後労働力不足がますます深刻化する現実があります。

経済政策面からは「同一労働同一賃金」を掲げ、今や労働者の4割を占める非正規労働者の賃金を改善し、デフレスパイラルの脱却と需要喚起を狙っています。


長時間労働の是正の背景

労働力不足に対して、どういった対策があるでしょうか。
すぐに思い浮かぶことの一つに海外からの労働力の輸入があります。
しかし、それらを考える前にまず国内ですべきことがあるのではないでしょうか。

まず、働き手を増やすために労働力市場に参加していない女性や高齢者に働いてもらうことです。
さらに、出生率を上げることや、労働生産性を上げることも必要です。そもそも日本の労働生産性はOECD主要7か国中で最下位にあり、改善の余地が大いにあります。

「長時間労働の是正」「正社員と非正規社員の格差の是正」などの問題は、育児や介護の負担の大きい女性や体力的な制約がある高齢者にとって、労働市場に参加するために避けられない問題となっており、それ故、大手企業ではすでに相当な危機感を持って対応を進めています。




中小企業への影響

一例として、トヨタ自動車をはじめとする自動車メーカー各社は数年前から家族手当の見直しを進めています。
大手スーパーでもパート向けの等級制度を廃止して勤労意欲を引き出し、勤務時間の増加に繋げるなどの対策を図っています。

事が人事体制に関わる話となるとなかなか表には現れにくいですが、中小企業における対策は進んでいるでしょうか。サービス産業など、過当競争を隠れ蓑にして対策を怠っていることはないでしょうか。「残業規制」の問題にしてもまだまだ他人事としてしか見ていないのではないでしょうか。

このままでは、中小企業は、大企業との賃金格差に続く、新たな格差に直面することになるのではないかというのが最も危惧されるところです。


生き残るために

大手コンビニや飲食店でも人出不足から24時間営業を取りやめたり、店舗を閉鎖せざるを得ない時代。

すでに最も人出不足の影響を被っているのが中小企業かもしれません。
いわゆる「人出不足倒産」も現実の問題となっています。

この時代をピンチと見るか、チャンスととらえるかで対応は大きく異なってきます。

中小企業故の小回りの良さを生かして、これらの問題に積極的に関わっていってもらいたいと思います。

人材流出に悩む前に社内の各制度を見直し、正すべきところは勇気を持って変革していきましょう。



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