人事考課制度は社員の給与を決定するだけでなく、仕事に対するモチベーションにも大きな影響を及ぼします。そのため、人事考課制度を正しく運用することが社員を成長させる近道であり、会社を成長させる重要な要因のひとつといえるでしょう。
そこで今回は、社員のモチベーションを上げるための人事考課のポイントをまとめました。現状の制度がうまく機能していない企業は、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
【目次】
評価への不満はモチベーションが下がる原因のひとつ
がんばって仕事をしている割に評価が低いと感じると、社員は徐々にモチベーションを失っていってしまいます。また、評価に不満がある状態の社員に「もっとがんばって欲しい」と言っても、本人からすれば「がんばってもどうせ評価されないし」という気持ちになるのでがんばる気が起こりません。
社員のモチベーションが下がると仕事の質が下がり、会社の業績に響いてきます。会社の業績が伸び悩んでいる場合は、評価に対する不満が原因かもしれません。
正しい評価はモチベーションをあげる
では、反対に正しく評価されると社員はどう感じるでしょうか?人はがんばった分の成果を得られると、「次もがんばろう」という気持ちになります。社員にとって、評価はモチベーションを上げるための原動力なのです。
正しい評価で社員のモチベーションが上がると仕事効率が高まりますし、もっと会社に貢献しようという気持ちが芽生えてきます。成長している会社は社員が活き活きと働いていることが多く、その根幹にはがんばった分だけ評価されるという正しい人事考課制度があります。
人事考課のポイントまとめ
1. 客観的基準で評価する
好き嫌い、気にいる気に食わないといった感情的な評価は正しいといえません。評価する人によって基準が変わるような人事考課制度では、不満を招いてしまいます。
正しい人事考課制度の運用には客観的な基準が必要です。誰が担当しても同じ評価になるように、客観的基準を設けましょう。
2. 仕事以外のことは評価に入れない
人事考課は仕事のみで評価すべきです。昼食や飲み会への参加率など、仕事以外のことを評価に入れるのは正しい人事考課とはいえません。仕事以外の行動を評価に含めることは公平性に欠け、不満を招く要因となります。
評価をする者としてはプライベートでの付き合いのある部下に温情を加えたくなる気持ちもわかりますが、人事考課とプライベートの付き合いは切り離して考えないといけません。
3. 勤務態度を評価に含める
実績や能力だけでなく、勤務態度も評価に含めましょう。これは「情意考課」と呼ばれる項目で、「業績考課」「能力考課」と並ぶ重要な要素です。
「情意考課」では勤務態度、規律性、積極性など、日常の行動を評価します。実績のみ評価対象としてしまうと、がんばっているけれどなかなか思うような実績が残せない社員のモチベーションが下がってしまいます。
普段の勤務態度は成果にも現れてきますので、継続して高いモチベーションを持って仕事に取り組めるように、「情意考課」で勤務態度を評価しましょう。
4. 社員個人個人に合った目標を設定する
目標の遂行能力は人によって差があります。効率よく目標を達成できる人もいれば、達成するまでに時間がかかる人もいます。簡単すぎる目標も、困難すぎる目標も本人の成長を阻害してしまうのです。
社員を成長させるためには、社員個人個人に合った目標設定が必要です。個人に合った目標設定はモチベーションアップにつながり、段階的な成長を促します。
5. プロセス評価を上手に運用する
「プロセス評価」は目標達成度や業務遂行度など、成果につながるプロセス(過程)を評価する制度です。成果のみ評価するのではなく、目標とした成果が出なかった場合もプロセスを評価することにより、モチベーション維持を図ります。
目に見える成果と違ってプロセスは測定しにくいため、データに基づいた定量的な評価が必要となります。「プロセス評価」では、コンピテンシー(行動特性)を基準にする「コンピテンシー評価」がよく用いられます。
6. 加点で評価する
日本の教育は減点方式が採用されているため、人事考課も減点になって評価してしまいがちです。しかし、減点方式だと失敗に対する恐れからチャレンジ精神が抑制されてしまい、社員の成長をストップさせてしまいます。
加点方式だとがんばるほど評価が高くなっていくので、自然とモチベーションが高くなり、チャレンジ精神も芽生えます。100点から減点していくよりも、0点から加点する方が社員の成長が期待できます。
まとめ
人事考課制度を整備する上で忘れてはいけないことは、”評価はモチベーションに影響する”ということです。
評価に対する不満が募ればモチベーションは下がっていき、社内全体のパフォーマンスを低下させます。モチベーションが下がらないよう、社員が正しく評価されていると感じられる制度になるよう心がけましょう。