経済産業省では予算を倍増

コロナ禍で私たちが広く実感することになったデジタル化の遅れに対していろいろとその原因が語られているところだが、各省庁の来年度予算の概算要求が出そろった内容を見ると、コロナ対策とともにデジタル化の推進に対して「デジタル変革(DX)」関連に重点が置かれていることが分かる。その内容をいち早くつかむことで、これからの社会の動き、ビジネスチャンスにもつなげることができると思い、今回、各省庁の予算の概算要求の中をチェックしてみた。

まず経済産業省はデジタル技術の革新や産業転換に関する予算を21年度は20年度の当初予算比で約倍増する。行政手続きのデジタル化の遅れに対応するため、一度提出した情報の再提出を不要にするワンスオンリー化の予算も要求する。

具体的にはデジタル技術を活用した産業への転換に向けて389億円を計上して、20年度当初予算の204億円から約倍増する。特に研究開発の支援では、革新的ロボットの開発事業で20年度当初予算比の8倍超となる29億円を盛り込んだ。また、遠隔・非対面・非接触の推進に向けた取り組みも加速する。キャッシュレスによる店舗運営変革促進事業に5億円、地域未来デジタル・人材投資促進事業に30億円を新規に盛り込んだ。

ローカル5Gの利用を促進

一方、経済産業省ではコロナ禍で行政手続きのデジタル化の遅れが浮き彫りになったことから、デジタル行政の取り組みも急ぐ。継続案件のデジタルプラットフォーム構築事業は20年度当初予算比58%増の46億円を計上した。

総務省はDXの加速による新たな地域と社会の構築に向けて、2830億円を計上した。そのうち自治体行政の効率化や住民の利便性向上に向けた「自治体DX」に20年度当初予算比5.5倍の38億円を盛り込んだ。行政手続きのオンライン化、人工知能(AI)やRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)活用で業務の標準化を進め、自治体が取り組むべき施策をまとめた「自治体DX推進計画(仮称)」を年内にも策定する見通しとなっている。

マイナンバーカードの普及、利活用促進には1451億円を計上している。交付率は9月時点で2割弱にとどまっており、交付体制の強化や情報連携の拡充などで交付率の向上を目指す。テレワークや遠隔教育、遠隔医療を支える情報通信基盤の整備には256億円を計上。地方公共団体や無線通信事業者が過疎地域に第5世代通信(5G)などの携帯電話基地局を整備する場合、事業費の一部を補助する。また、地域課題解決に向け、地域限定で5Gを利用する「ローカル5G」の利用を促進する。急増する通信量の予測や地域分散による混雑緩和には10億円を新規に計上した。

全国で医療情報が利用できる時代へ

ビヨンド5G(6G)や量子力学の原理に基づき機密情報を安全にやりとりできる量子暗号通信などの先端技術への戦略投資には732億円を計上。20億円を新規計上し、情報通信研究機構(NICT)に社会全体でサイバーセキュリティー人材を育成するための共通基盤を構築する。コロナ禍での新たな働き方や暮らしの定着、デジタル格差対策には55億円を計上した。デジタル知識の不十分な利用者への助言や相談の場の設置、テレワークの推進、キャッシュレス環境の整備を支援する。

厚生労働省はウィズコロナ対応やポストコロナ時代の社会を見据え、広い分野でデジタル化を重点的に推進する項目を盛り込んだ。健康医療では、22年度中の運用開始を見込む「新たな日常にも対応したデータヘルスの集中改革プラン」の実施に向け、1039億円を計上。同意を得た患者について全国の医療機関で医療情報を確認できる仕組みや電子処方箋、マイナポータルを通じて保険医療情報を閲覧する仕組みなどの構築を進める。高齢者や救急患者の情報確認に加え、災害時や感染症拡大時といった医療情報の入手が困難な場合でも情報の共有が可能となる。

ICTを利用して生産性の向上へ

国土交通省ではインフラ、物流分野などのデジタル化の加速に20年度当初予算比3.3倍の183億円を、さらにスマートシティーや次世代モビリティーの社会実装などのDXに169億円を計上。建築施工分野では「5G」「飛行ロボット(ドローン)」「AI」がキーワード。公共工事への3次元モデリング技術の積極導入、5G技術による無人施工、ドローンやロボットを活用したインフラ管理の高度化・効率化、AIの実装を可能にする開発支援プラットフォームなどに取り組む。交通・物流分野ではコロナ禍で危機に瀕する旅客運送事業の生産性を図るため、情報通信技術(ICT)を活用したデジタル化による省力化や効率化に取り組む。

文部科学省では大学や高等専門学校の教育高度化計画に新規で90億円を計上した。新型コロナによる環境変化を踏まえ、21年度からオンラインと対面での授業を組み合わせた新しい教育手法を模索する。オンライン教材で予習した上で演習などを対面で行う「反転授業」や、仮想現実(VR)を利用した理工系の実験などを後押しする。さらに新型コロナで大学などの研究活動が停滞している状況を改善するため、研究施設の設備やリモート化の推進などに20年度当初予算比10.5倍の126億円を計上した。さらにデータを利用した材料開発の拠点整備などには4.6倍の115億円を計上している。

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